資産形成のポイント
今日は資産形成のポイントについて書きます。資産形成は、これから私が書くことをきちんと守れば誰にでもできます。
もしあなたが資産形成に失敗したのなら、それは相場のせいでも私のアドバイスのせいでもなく、あなたがルールを守らなかったからです。
ルールを守る……私は自分に課したルールをすぐに破ってしまう心の弱い人間が大嫌いです。だから毎日(自分はルールを破ってないか?)を自問自答してください。
資産形成のルール
資産形成するにあたり最初のルール……というよりは「自然の法則」みたいなのがあります。それは「貯蓄をはじめるのは、早ければ早いほど良い」ということです。
理想的には社会人になったらすぐに貯蓄を始めることが好ましいです。
ところが新入社員のときは誘惑が多いです。まだ入社して間もないころ、右も左もわからず、もちろん仕事も皆目わからず、まごまごしながら不安な日々を過ごした記憶は皆さんにもあるはずです。
そんなとき、自信満々なちょっと年上のおねえさんが「あら、タイヘンね、頑張ってね、きっと大丈夫よ」と声をかけてくれます。
それが保険を売るおねえさんたちです。
おねえさんたちはあなただけをとくべつ気遣ってくれているような印象を醸し出す才能があり、環境が変わりあなたの心に隙があるときを狙い撃ちして「いい生命保険を紹介したげる!」と営業攻勢をかけてきます。
「みんなもそうやっている……もう社会人なのだからしっかり保険くらい入らなければ……」そういう口上で要りもしない商品を売りつけてくるわけです。
あなたが独身で子供が居ないのなら、あなたが死んだところで路頭に迷う家族はいないわけで、死んだ自分が使えないお金を積み立てたところで、それはおカネをドブに捨てるのと同じです。
しかし甘い言葉に乗せられて、まんまとだまされて生命保険に入ってしまった自分を正当化するために(自分は保険に入っているから財産形成、貯蓄行為はやっている!)と無理にすり替え、過ちを是正しようとしないわけです。
これでは財産形成の第一歩を踏み出したことにはなりません!
その保険のおねえさんたちが詰めている営業所を一度訪れることをお勧めします。がらんどうの部屋に机がたくさん並んでいて、それぞれの女性の机の上や天井から「〇〇さんは××を達成!」とか「目標△△!」などまるで小学校の運動会のように標語や花飾りが踊っていることと思います。
営業所というところはそういうところであり、数字達成のための競争の場にほかならず、新入社員として彼女たちの話を聞く立場に置かされるあなたは、つまり餌食にされているのです。
最初から耳の痛い話を持ち出して恐縮ですが、この部分で間違った商品(=生命保険)を選んでしまうとあなたの財産形成は出だしから取り返しのつかないダメージを受け、ほぼ修復不可能になります。
あなたが若い人でまだ独身で社会人になりたてなら、わるいことは言いません。これまで払い込んだ生命保険料は高い授業料だったと諦め、保険を解約すること。
その額とは? | 累計 | ||
---|---|---|---|
30歳 | 初任給年収と同じ金額を貯金 | 250万円 | 250万円 |
35歳 | 現在の年収の2倍の金額を貯金 | 409×2 | 818万円 |
40歳 | 現在の年収の3倍の金額を貯金 | 487×3 | 1,461万円 |
45歳 | 現在の年収の4倍の金額を貯金 | 506×4 | 2,024万円 |
50歳 | 現在の年収の6倍の金額を貯金 | 642×6 | 3,852万円 |
これは大ざっぱな目安ですが日頃からコツコツ投資を励行している人なら達成している人も多いはずです。生命保険をやっていたり、投機的なトレードばかりに手をだしていた人は、たぶん達成してないと思います。
まず(自分はみんなより財産形成が劣後している!)という認識をハッキリ持ちなさい! そうしないと第一歩が踏み出せないから。そして年を取れば取るほど一発逆転ホームランは困難です。
貯金を残すには投資リテラシーもスキルも不要!
多くの人が誤解しているのですが、貯金を残すには投資リテラシーやスキルは不要です。ただし必要なものがあります。それは「良い習慣」です。
ここで「良い習慣」といった場合、それは厳密に定義されます。
具体的には毎月、ないしは毎年一定金額を給与天引きなどの強制的・自動的な方法により、本人の意思に関係なく、本人がすっかり忘れていようがいまいが、とにかく知らず知らずのうちにお金が貯蓄へと回されてゆく仕組み……これが「良い習慣」です。
さらにそのような積立の対象となるものは「じゅうぶんに分散効果のあるシンプルでレバレッジを使わない投資対象」である必要があります。
例えば「日本株インデックスに100%投資する!」というのは、のっけから落第です。なぜなら日本株は世界の投資可能市場のわずか5.5%にすぎないので。
じゅうぶんな分散を得るための投資対象としては「オールカントリー指数(=世界の全ての株式に投資)」とか「トータルストックマーケット指数(=VTIに代表される、米国株の全てを買う投資)」のみが好ましいです。
なぜ米国株だけでいいの?=それは米国株を丸ごと買えば、世界の株式の61%を買ったことになるからです。
iDeCo、つみたてNISA
さて、日本国は近年積み立て投資を奨励しています。そのために税制面で有利な投資スキームをいろいろ打ち出しています。
その中でもiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)とつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)は優れた制度なので、まずiDeCoをやり、並行してつみたてNISAもやり、余裕があればさらに自分で投資すれば良いでしょう。
その場合でも、忘れてほしくないことは「世界を丸ごと買う投資商品」ないしは「米国株を丸ごと買う投資商品」を選んでください。
レバレッジ
レバレッジとは「借金することで自分の元手(もとで)より大きな相場を張る」ことを意味します。2倍、3倍のレバレッジと聞くと(他人より早く目的に到達できる!)と誤解しがちですが、そういう人に限って他人より2倍、3倍の速度でみるみるおカネを失います。
ほとんどの投資家はレバレッジ投資に向いていません!
だからレバレッジETF(上場投資信託)をホイホイと購入している時点で、あなたは素人(しろうと)だと思います。
玄人(くろうと)は相場の怖さをよく知っているので、レバレッジ商品だけで自分のポートフォリオを構築するというような愚行はしません。
上級編の投資
さて、ここまでは「良い習慣に基づく投資」の手法の説明であり、上に述べた鉄則を守っている限り、長期でならしてみれば誰がやっても粒ぞろいの「それなりの」成果が出ることが知られています。
まずそれをやってください。
それをきちんと走らせていて、なお余裕がある人は、個別株投資に着手すると良いでしょう。
あるいはチャート分析やマクロ経済の分析や個別株の業績分析を手掛かりとした投資でも何でもよいです。大事な点は冒頭で説明した「良い習慣に基づく投資」すらできてない人がいきなり上級編にチャレンジしてもほとんどうまくいかないということです。
(趣味の登山をはじめてみようかな?)と思った人が、いきなり「アイガー北壁」を目指しますか?
それは自殺行為だと思うのです。
物事には順序というものがあります。まず手堅い基礎的なことから始めることすらできない人がいきなり奇妙奇天烈な方法で大金を手にするのは「まぐれ」、ないしは「運」であり、必然ではありません。
手堅い投資を進めてください。