今日の為替ウォーキング
今日の一言
俺はトレーニングが大嫌いだった。でも自分に言い聞かせたんだ、今は耐えて残りの人生をチャンピオンとして生きるんだって- モハメド・アリ
Tears In Heaven
最近は、米雇用統計の経済指標としての重要度が以前ほどでなくなったといわれている。今月も、雇用統計の発表よりもFOMC(米連邦公開市場委員会)の利上げ幅が、0.75パーセントなのか、それとも1.00パーセントになるのかということに注目が集まっている。
6月の会合でFOMC(米連邦公開市場委員会)では、フォワードガイダンスで示していた0.5パーセントではなく、0.75パーセントの引き上げを決定した。インフレを制御するというFRBの強い意志表明である反面、FRBのフォワードガイダンスの信頼性は大きく損なわれることになった。その分FOMCのボラティリティは高まっている。
いずれにしてもFRBが、雇用統計の結果をもとに金融政策を決定するという時代は終わった。しかし、だからといって雇用統計が重要でないと考えるのは間違いだ。
これからの雇用統計は、失業率がどれだけ下がるかよりも、賃金がどれだけ上がるかということがマーケットの注目点になる。
労働コストは最終的に価格に転嫁され、インフレ率を押し上げる。また所得増による消費拡大は景気拡大期待につながるだけでなく、景気回復とインフレも関係があり、長期金利にも影響を与える。金利差は、FXを動かす重要な要因だ。
2021年がコロナ給付金による「貯蓄主導型」消費だったとすれば、2022年は「所得主導型」消費に代わるといわれている。一時的な貯蓄に支えられた消費が、収入に支えられた安定的な消費へと変化するかどうかは、雇用市場の拡大、すなわちどれだけ多くの人が仕事に復帰するかにかかっている。
2020年の米国の消費者は、新型コロナによる移動制限によって消費の機会が奪われ、お金を使いたくても使えなかった。2021年になると経済再開と共に、コロナ中に貯めていたお金を一気に使う、いわゆるリベンジ消費が発生した。しかし貯金はいつか尽きてしまうもので、成長を支え続けることはできない。
だから、米経済の先行きを予想するうえで雇用データが重要になってくるのだ。雇用統計の役割は、FRBの政策決定の判断材料から経済成長を示すバロメーターの役割へと変わろうとしている。今後の雇用統計は、FRBの政策を決定する役割より以上に、米経済成長を示す指標として使われることになるだろう。