オン・セミコンダクター

1.2022年12月期1Qは31.3%増収、営業利益5.1倍

 オン・セミコンダクターは、パワー半導体、CMOSイメージセンサー、アナログ半導体などを生産販売している中堅半導体メーカーです。パワー半導体では世界シェア2位(1位はインフィニオン)、CMOSイメージセンサーでは6位(1位はソニー)です。生産は大部分を自社工場で行っていますが、一部をファウンドリ等の外部メーカーに委託しています。

 オン・セミコンダクターの2022年12月期1Q(2022年1-3月期、以下今1Q)は、売上高19.45億ドル(前年比31.3%増)、営業利益6.47億ドル(同5.1倍)となりました。営業利益率は前4Q26.0%から今1Q33.3%に上昇しました。製品値上げも寄与しました。引き続き好調な決算でした。

表4 オン・セミコンダクターの業績

株価(NYSE) 56.07米ドル(2022年5月19日)
時価総額 24,295百万ドル(2022年5月19日)
発行済株数 448.9百万株(完全希薄化後)
発行済株数 433.3百万株(完全希薄化前)
単位:百万ドル、ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後発行済み株式数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前発行済み株式数で計算。
注3:会社予想は予想レンジの中心値。

2.事業別、分野別動向―自動車向け、産業向けの好調が続く―

 事業別に見ると、最も事業規模が大きいパワー・ソリューションズ・グループ(PSG。電力制御を行うパワー半導体、SiC[炭化ケイ素]製品など)が売上高9.867億ドル(前年比32.1%増)と好調でした。アドバンスド・ソリューションズ・グループ(ASG。アナログ半導体、ASICS、ゲートドライバーなど)も売上高6.893億ドル(同29.7%増)、インテリジェント・センシング・グループ(ISG。CMOSイメージセンサー、イメージシグナルプロセッサーなど)も売上高2.690億ドル(同32.4%増)と好調でした。

 分野別に見ると、最も売上高が大きい自動車向けが、今1Qは売上高7.145億ドル(同38.4%増)と好調で、前4Q比でも11.5%増と順調に伸びました。自動車向けは、パワー半導体、ADAS向けイメージセンサーなど各種半導体が含まれますが、EV(電気自動車)と自動運転の普及に伴い、今後も売上好調が予想されます。

 産業向けも売上高5.432億ドル(同47.9%増)と好調でした。この分野は各種の産業向けにエネルギー関連、EV充電器向け、オートメーション関連、AR/VR向けセンサーなどを販売しています。すそ野の広い分野です。

 一方、その他の分野は売上高6.873億ドル(同15.0%増)と、自動車向け、産業向けに比べ低い伸びとなりました。その他の中には、データセンター向け、通信向け、パソコン向けなど様々な分野が含まれています。

グラフ4 オン・セミコンダクターの事業別売上高

単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

 

表5 オン・セミコンダクターの事業別売上高

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

表6 オン・セミコンダクターの分野別売上高

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

3.2022年12月期、2023年12月期も好業績が予想される

 2022年12月期2Q(2022年4-6月期)の会社側ガイダンスは、売上高19.65億~20.65億ドル(前年比17.7~23.7%増)、営業利益6.23億~6.98億ドル(同2.2~2.5倍)(注:会社側ガイダンスの売上総利益率48.5~50.5%、販管費3.30億~3.45億ドルより楽天証券計算)です。引き続き自動車向け、産業向けの好調が予想されます。

 中国での新型コロナの問題、物流の混乱の問題は、今1Qには影響がありませんでしたが、今2Qは売上高の数%分の影響を会社側ガイダンスに織り込んでいます。

 楽天証券では、今1Qの実績と今2Qの会社側ガイダンス、半導体市場の中でのEV向け、自動運転向け、各種産業向けの成長性、今1Qまでの営業利益率の上昇、今3Q、4Qに予定される売上高約3億ドル分の非中核事業からの撤退などを考慮して、2022年12月期を売上高82億ドル(同21.7%増)、営業利益26億ドル(同2.0倍)、2023年12月期を売上高97億ドル(同18.3%増)、営業利益32億ドル(同23.1%増)と予想します(前回予想は、2022年12月期売上高81億ドル、営業利益23.5億ドル、2023年12月期売上高97億ドル、営業利益30億ドル)。

 旺盛な需要に対応するために、パワー半導体に使うSiC(シリコン・カーバイド、炭化ケイ素)への投資を進めています。SiCを使ったパワー半導体は特にEV向けで大きな需要が予想されます。SiCの生産能力増強と、年内に買収完了する予定である中堅ファウンドリ、グローバルファウンドリーズの300ミリウェハ工場(ニューヨーク州イーストフィッシュキル、買収価額4.3億ドル)が、今期の投資の中心になる見込みです。

4.今後6~12カ月間の目標株価を前回の85ドルから80ドルに引き下げる

 今後6~12カ月間の目標株価を前回の85ドルから80ドルに小幅引き下げます。2022年12月期楽天証券予想EPS 4.52ドルに成長性と金利上昇、景気減速懸念を織り込んで、想定PER15~20倍を当てはめました。

 引き続き中長期で投資妙味を感じます。

表7 パワー半導体売上高ランキング

単位:100万ドル
出所:TECH+より楽天証券作成(元出所はOmdia)

本レポートに掲載した銘柄:SCREENホールディングス(7735)オン・セミコンダクター(ON、NASDAQ)