ナスダック銘柄のPER低下と高ROEに注目
FRBがタカ派姿勢を強化したことで、債券市場の長期金利(10年国債利回り)や実質金利(名目金利-期待インフレ率)が上昇。金利上昇が逆風となりやすいナスダック銘柄は厳しい株価調整にさらされてきました。
図表2は、ナスダック100指数の構成銘柄の中から時価総額上位10銘柄を取り上げ、年初来騰落率、最新の予想PER(株価収益率)と予想ROE(株主資本利益率=自己資本利益率)を示したものです。一覧表の銘柄全てが年初来で株価下落を余儀なくされましたが、予想PERも低下してきました。
例えば、アルファベット(GOOG)やメタ・プラットフォームズ(FB)の予想PERは20倍を下回っています。
なお、大手IT企業を中心にROEが高いことに注目したいと思います。ROEが高いことは、株式発行体である企業が投資家(株主資本)に対して高い利益を還元可能であることを示しており、米国株の大きな投資魅力の一つであることが知られています。
図表2で示した10銘柄の平均予想ROEは約48%となっています。中でも、時価総額トップのアップル(AAPL)の予想ROEが150%超である点に注目したいと思います(11日時点/ブルームバーグ集計)。
<図表2:ナスダック上位銘柄の騰落率、予想PER、予想ROE>
図表3はナスダック100指数ベースの予想PER(12カ月先予想EPS(1株当たり利益)(市場予想平均)にもとづく株価収益率)の推移を示したものです。2020年や2021年の堅調相場でナスダック100の予想PERは一時30倍程度まで拡大しましたが、最近の株価調整で予想PERは20.4倍まで低下しました(11日)。
長期的な利益成長見通しや高いROEなどを加味すると、ナスダック100が比較的値ごろ感のある水準まで下落したことを示しています。