先週の日経平均が下がらなかった理由
3つの理由があります。一番の理由は「円安」です。
【1】円安によってドル建て日経平均が大幅に下落
日本株を動かしているのは、外国人投資家です。ドルを円に両替して日本株に投資する外国人投資家にとって重要なのは、ドル建て日経平均です。ドル建て日経平均が円安によって大きく下がったために、外国人はここからさらに日経平均を売り込みにくくなったと考えられます。
3月以降、急激な円安(ドル高)が進みました。これにより、日経平均(円建て)は堅調でも、日経平均(ドル建て)は大きく下がっています。前のグラフを見ると分かる通り、ドル建て日経平均は大きく下がり、コロナ前の2019年末の水準を割り込んでいます。
過去の経験則では、円安が進むと外国人が日本株を買う傾向が強まりました。円安によってドル建て日経平均が下がるので外国人からみて「安く日本株が買える」ようになることに加え、円安が日本の企業業績にプラスなこともあり、外国人は日本株を買うのでした。
最近、悪い円安説がしきりに吹聴されていますが、私はやや誇張されていると思います。詳しい説明は割愛しますが、円安は引き続き、日本の企業業績にプラスで、日本株にとってもプラス材料だと考えています。米国株が下がる中、外国人は日本株を積極的に買いに出ることはありませんでしたが、それでも、円安が急伸しているので、あえて売ることもなかったと考えられます。その結果、米国株が下がる中、日経平均は堅調に推移したと考えられます。
【2】決算がそんなに悪くない
3月期決算の発表が続いています。今のところ、良好な決算が続いていると言えます。新年度(2023年3月期)の業績(会社予想)は保守的(低め)に出されていますが、それでも増益が続く見通しとなっています。6日までに発表された予想で見ると、JR東日本・JR東海・JR西日本・ANA・OLCなど、リオープン(経済再開)関連企業の今期増益への寄与が大きくなっています。ただ、まだ発表途上で、これから傾向が大きく変わる可能性もあります。発表が終わるころに改めて報告します。
東証プライム全銘柄の予想PER(株価収益率)は13.7倍まで低下しており、PERから見て割安と言える水準と考えられます。今からリーマンショックのような世界景気悪化が起こって業績予想が大幅に下ぶれしない限りは、割安性を評価した押し目買いによって株価水準が支えられる可能性があります。
【3】内需回復期待が出つつある
岸田首相は5日、ロンドンで記者会見し、新型コロナウイルス対策を6月にも見直す方針を表明しました。政府は外国人観光客の受け入れを、一定条件を満たした団体旅行から受け入れる検討を始めています。これを受け、内需回復期待が高まりました。リオープン(経済再開)への期待が高まりました。