米大手企業の第1Q決算は穏やかな増益
FRBがタカ派姿勢を維持した一方、米企業決算発表は穏やかな増益にとどまっています。
図表2は、S&P500指数構成企業の2022年第1Q(1-3月期)の決算発表結果(途中経過)をまとめたものです。500社の約78%となる391社が決算を発表した段階で売上高の前年同期比は総じて+14.1%増収である一方、純利益の前年同期比は+6.6%増益に留まっています(5月4日時点/ブルームバーグ集計)。業種としては、エネルギー、工業、ヘルスケア、不動産などの平均増益率が比較的高かった一方、金融、一般消費財、通信、公益事業などの平均増益率が比較的低調でした。米商務省が第1Q(1-3月期)の実質GDP(国内総生産)成長率を-1.4%(前期比年率/速報値)と発表したなか、景況感の減速や川上部門の物価(輸入コスト)上昇を吸収しきれない企業の純利益が総じて圧迫されている印象も否めません。
図表2:米大手企業の第1Q決算は穏やかな増益
こうしたなか、注目されていたGAFAM(米国IT大手5社)の1-3月期決算も発表されました。
社会や経済のデジタル化が進展するなかで5社全ての売上高が増収を計上しましたが、純利益の面では明暗が分かれる結果となりました。米国市場の時価総額で1、2位を争うアップル(APPL)とマイクロソフト(MSFT)が増収増益を維持した一方、アルファベット(GOOG)とメタ(FB)は広告収入の伸び悩みや投資額増加が響き、減益を余儀なくされました。また、アマゾン・ドット・コム(AMZN)は、投資先のEV(電気自動車)企業の株価急落、人手不足を背景とする人件費上昇や燃料コスト上昇の影響を吸収できず、純損益は7年ぶりの赤字転落をとなりました。
なお、ガイダンス(4-6月期の業績見通し)面では、法人需要をコアとするマイクロソフトの強気が目立った一方、アップルの慎重姿勢が市場の警戒感を誘う場面がありました。アップルは、中国での新型コロナウイルス感染拡大と世界的な半導体不足に伴う供給制約の影響で、「4-6月期の売上高が40億~80億ドル(5,200億~1兆400億円)圧迫される」との見通しを示しました。