​円安でも積立投資は続けるべき?

円安時に注意したい投信のこと1:円安で保有資産の価格はどうなっているのか?

 投資信託の基準価額は、日本円でその残高や評価損益が記載されています。例えば米国株S&P500に連動する商品なら日々の価額変動は、為替の値動き・株価の値動き・日々のコストを引いた数値が表示されています。

 その価額表示は単純に前日の株価終値や為替というわけではなく、商品によって価格表示に採用されるデータは違います。そのため、前日の株価終値や前々日の為替などややタイムラグがあることを知っておく必要があります。さらに複数国の為替に分散投資しているようなら、それらの比率に応じて円安がどのように影響を受けているかを考えます。

 今回の円安は、日本円が各国通貨に対して全面的に円安になっているのでわかりやすいですが、もし米ドル高によって円安になっており他の通貨はそれほど円安に動いていないなら、正確な判断はより複雑になります(そこまで気にする必要もないかもしれませんが)。

 つまり投資信託の価額変動だけで、為替の影響を判断することはできません。月次レポートから投資先資産や為替の比率を確認し、日々の値動きがいつ時点の数値を採用しているかを理解しておく必要があります。

 長期的な投資をしているときは気にならないかもしれませんが、相場が大きく変動しているときや売買のタイミングを考えているときなどは、投資信託の価額にはよくよく注意しておくことが重要です。

円安時に注意したい投信のこと2:急激な円安でも積立投資を続けるべきか?

 ここ数年で投資信託の積立投資を始める人が急激に増えました。中には自分ではなく、子どもや孫の教育資金を積立投資で用意したいというニーズが多くあります。

 積立投資で一番の注意点といえば、いかに継続して投資が続けられるかどうかです。積立投資をやめてしまう理由の一つに、投資の評価損が嫌になってしまうことが挙げられます。

 それに加えて、逆に相場が大きく上昇した場合にも高値での買い付けになるのではと考えて積立をやめてしまうケースも散見されます。急激な円安もまさにこのケースに該当します。

 積立投資の残高が予想よりも大きく値上がりしているといったん利益確保のために売却したくなるのもわかります。結果的には相場が大きく崩れる前に売却できたなら売却が正解だったということもあるでしょう。

 とはいえ積立投資の本質は、長期間かけてまとまった資金を貯めるために積立をしながら、同時に運用をすることで効率的に資産を増やすことです。そして基本的にインデックス投資などの株式相場に連動した商品を定期的に買付するため、相場の機微や売買のタイミングなどを考える必要がありません。積立投資は、投資経験や知識に頼らない資産形成の一環です。

 よほどのことがない限りは、積立投資をするのなら機械的に投資を続けることが重要です。過去の相場を見ても毎年上下に変動していることがわかります。タイミングをみて売ったり買ったりを繰り返す投資と、積立投資はしっかり分けるようにしましょう。