日銀の指値オペで円全面安に

 今週のドル/円は荒っぽい展開となりました。週明け28日(月)、10年物国債利回りが一時0.245%をつけたため、日本銀行が指値オペを実施することを通知しました。指値オペとは、日銀が長期金利の上昇を抑制するために許容範囲の上限である0.25%の利回りで、新発10年物国債を対象に原則、応札分全てを買い取ることです。

 世界的に金利が上昇する中での日銀の指値オペ(金利抑制策)は、格好の円売り材料となりました。122円台前半で始まったドル/円は、123円台に上昇しました。日銀は28日午後にも指値オペを通知しました。

 そして、夕方、31日まで3日連続で指値オペを実施することを通知すると、始まったばかりの欧州市場で円は狙い撃ちされ、円全面安となりました。今度は、日銀からのサプライズでした。3日連続の指値オペ通知によって、日本の金利抑制姿勢が強く示されたことから、ドル/円は6年7カ月ぶりに125円台を付けました。

 一日に3円の円安は久々の大相場となりましたが、125円台は一瞬でした。その後はプライス達成感や利食いの売りなどで、ドル/円はその日の内に123円台まで下落しました。円安のスピードが速すぎたことへの警戒感や3月という四半期末、年度末要因があったかもしれません。

 3月は、欧米の企業や投資家にとっては四半期末、日本の企業にとっては年度末となります。期末にかけて、欧米投資家は保有資産の調整・見直し(リバランス)を行う可能性があります。もし、実施される場合は、買われ過ぎの資産は売却され、売られ過ぎの資産は買われることになります。買われ過ぎた原油の急落や、売られ過ぎた円も、125円達成をきっかけにその対象になったのかもしれません。

 また、日本企業にとっては期末要因によるレパトリエーション(資金の本国回帰、円買い要因)や実需の特殊玉が予想されます。これらの実施タイミングや規模、売買の方向はわかりませんが、金利要因や経済要因とは関係なく期末の特殊要因として相場が動くこともあるため、期末日が近づくにつれて留意してマーケットに臨む必要があります。

 例えば、東京市場の為替売買の主要プレーヤーである銀行は、決算をぶらさないように売買活動が控えめになります。

 一方で銀行を含め決算を迎える企業は、期末絡みの特殊玉や決算絡みの調整売買などの特使要因が出ることが時々あります。その結果、売買を控えた流動性の乏しいマーケットでは、これら特殊要因によって相場が翻弄(ほんろう)されやすい地合いとなりがちです。

 特に3月31日は要注意日です。さらに午前10時前に銀行が公表する公示レート発表前後は要注意時間帯です。期末絡みの特殊玉決済に期末日の公示レートを使うことがあるからです。