1.米国株式市場の状況
米国株式市場は、株価モメンタム的には循環的底値圏、ただし、株価水準は割安とまでは言えず
米国株式市場は、年初から米利上げ加速への警戒で調整を始めていました。そして、足元でロシアがウクライナ侵攻を進めていることで、市場全体がリスクオフとなり、さらに下げ足を速めています。直近高値から安値までの下落率は、S&P500株価指数で▲11.9%、ナスダック総合指数で▲18.8%と大幅なものになっています。(共に2月24日まで)
この状況を受け、米国株式市場は「買い」なのかを検討してみると、まず、株価モメンタムを表す代表的指標の"RSI"(※脚注参照)は、年初の最初の下げで売られ過ぎのメドとされる30%を下回り、いったん戻ったものの、ウクライナ情勢緊迫化による二度目の下げで再び30%程度に低下しており、株価モメンタム的には「循環的な底値」に達した可能性が考えられます。
一方、図にはありませんが、株価水準を代表的な指標である"PER(株価収益率)"で見てみると、S&P500株価指数のPERは20倍を下回ってきており、昨年までの割高な水準は解消されつつあります。ただし、コロナ前の平均的水準である16倍から見れば、割安感は乏しいと考えています。
[図表1] S&P500株価指数とRSIの推移
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(出所)Bloombergを基に野村アセットマネジメント作成
※RSI(Relative Strength Index、相対力指数):現在の株価が売られ過ぎか、買われ過ぎかを判断するときに使われるテクニカル指標の一つ。一定期間内(ここでは14営業日)の上げ下げを合わせた全体の変動幅における上げ幅の割合を示す。期間内の価格がすべて上昇したときは100%、すべて下落したときは0%。70%以上は買われ過ぎ、30%以下は売られ過ぎの水準。