為替DI:2月のドル/円、個人投資家の予想は?
楽天証券FXディーリング部 荒地 潤
楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。
DIは「強さ」ではなく「多さ」を測ります。DIは円安や円高の「強さ」がどの程度なのかを示しているわけではありません。しかし、アンケートに個人投資家の相場観が正確に反映されているならば、DIの「多さ」は「強さ」に関係することになります。
「今月のドル/円は、円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」
楽天証券が先月末に実施した相場アンケート調査によると、4,370人の個人投資家の半数を超える51%(2,245人)が、2月のドル/円は「ドル高/円安」に動くと予想しています。先月に比べて円安見通しは3ポイント減りました。
「ドル安/円高」予想は全体の19%(825人)で、先月に比べて円高見通しは3ポイント増えました。30%(1,300人)は、「変わらず(分からない)」でした。
もう、二度と働かない
コロナで幼稚園や小学校が閉鎖されていたとき、米国の家庭では、親が働きに出かけている日中は、おじいちゃんやおばあちゃんが小さな子供の面倒を見ることが多く、55才以上の働き手の多くが会社に行くことをやめました。米国では労働力不足が問題になっているのですが、労働力参加率の下落全体の3割を、この年齢層が占めています。
しかし、この人たちの多くは、たとえ子供たちが学校に通うようになっても職場には戻らないかもしれません。
金融危機(GFC、リーマンショック)が起こったとき、当時40歳代後半から50歳代前半だった人たちは、株価暴落で老後の貯蓄を失ってしまい、懸命に働き続けるしかなかった。その後、米国の退職率は一貫して減少してきたのですが、2020年になって、このトレンドが逆転しました。
コロナ禍の中でも株価が過去最高値を更新しながら上昇しているおかげで、引退するのに十分な蓄えができたのです。コロナ後に再び働くよりもリタイアを選んだこの世代の「FIRE」ブームが、米国の雇用が伸びない原因といわれています。
「働く場所」が見つからないのではなく、もう「働く意思」がない。だから、中央銀行や政府がどれだけ景気対策をしようが、これらの人々が労働市場に戻ってくる見込みは少ないのです。
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった流行語で、「経済的自立を果たし、早期引退する」という意味。50代後半で引退することが、はたして早期といえるのか分かりませんが、世界的な株高が続くなら、もっと若い世代からもFIREする人が増えてくるでしょう。
経済を助けるはずの中央銀行の緩和政策が労働力を減らし景気拡大の邪魔をしているとすれば皮肉なことです。
楽天証券が実施した相場アンケート調査によると、個人投資家の33%が2月のユーロ/円は「ユーロ高/円安」に動くと予想。ユーロ高見通しは、先月から3ポイント減りました。
「ユーロ安/円高」予想は全体の17%で、先月から2ポイント増えました。残り50%は「変わらず(分からない)」でした。
楽天証券が実施した相場アンケート調査によると、個人投資家の28%が2月の豪ドル/円は「豪ドル高/円安」に動くと予想。豪ドル高見通しは、先月から4ポイント減りました。
「豪ドル安/円高」予想は16%で、先月から2ポイント増えました。残り56%は「変わらず(分からない)」でした。