ディスコ
1.ディスコの2022年3月期3Qは、44.6%増収、75.0%営業増益
ディスコの2022年3月期3Q(2021年10-12月期、以下今3Q)は、売上高641.86億円(前年比44.6%増)、営業利益232.92億円(同75.0%増)となりました。今2Q比では検収の遅れから小幅減収減益となったものの、前年比では大幅増収増益となりました。
ダイサ(回路を描き込んだシリコンウェハをチップに切り出す)、グラインダ(シリコンウェハの底面を薄く削る)ともに顧客の投資意欲は依然として強く(発注のキャンセルは今のところない)、連結受注高(以下断りがない場合はすべて連結数値)は、今2Q709.19億円から今3Q800.47億円へ大きく伸び、過去最高となりました。需要の実勢を測る上で重要な出荷額も今2Q604.33億円から今3Q684.10億円へこれも大きく伸びました。
また、ダイサ出荷額(単独)が集積回路向け、パワー半導体向け、CMOSイメージセンサ向けの好調により、今2Q比で伸び、過去最高となりました。グラインダ出荷額(単独)は今1Qの水準には届きませんでしたが、パワー半導体向けが大きく伸び、一時的に落ち込んだ今2Q比で急回復しました。精密加工ツール(ブレード)の出荷額も順調に伸びました。
出荷済みを除く受注残高は、2021年9月末570.43億円から2021年12月末686.80億円に増加しました。顧客の投資意欲の強さに対して、人材増強が追い付いておらず、部材不足も響いて生産体制の拡充が十分進んでいない模様です。また、OSAT(後工程専門業者)やデバイスメーカーが先々を見た発注を増やしているため、もともと1~2カ月だった受注-出荷のリードタイムが、過去半年間で平均6カ月以上となっています。これらの事情で、受注高だけでなく、受注残高が増加する傾向にあります。
表6 ディスコの業績
グラフ4 ディスコ:売上高、受注高、出荷額(連結ベース)
グラフ5 ディスコ:受注残高
表7 ディスコ:連結受注高、売上高、出荷額
2.2022年3月期は引き続き業績好調を予想。楽天証券の2023年3月期は上方修正する
2022年3月期会社予想(ディスコは翌四半期のみ会社予想を開示するため、今回の予想は2022年3月期通期予想となる)は、売上高2,431億円(前年比32.9%増)、営業利益833億円(同56.9%増)、経常利益842億円(同57.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益(以下当期純利益)602億円(同54.0%増)となっています。
これに対して楽天証券予想は、前回の売上高2,490億円、営業利益860億円、経常利益880億円、当期純利益626億円を、売上高2,460億円(同34.5%増)、営業利益860億円(同61.9%増)、経常利益870億円(同62.2%増)、当期純利益622億円(59.1%増)と微調整します。会社予想では今4Qは今3Q比で減収減益になる見込みですが、4Qは検収が多い期になると思われること、会社側想定レートが1ドル=105円で営業利益に対して1円当たり12億円の円安メリットが発生することを考慮して、会社予想よりもやや強気の予想にしました。また、前回は営業外収支を20億円としていましたが今回は10億円に引き下げました。
2023年3月期楽天証券予想は、前回の売上高2,800億円(同12.4%増)、営業利益1,020億円(同18.6%増)を、売上高2,900億円(同17.9%増)、営業利益1,070億円(同24.4%増)へ小幅上方修正しました。足元の業績好調を反映しました。
TSMC、インテルなど大手デバイスメーカー中心に活発な半導体設備投資が行われています。ディスコの来期も引き続き好業績が予想されます。
3.今後6~12カ月間の目標株価は、前回の4万5,000円を維持する
ディスコの今後6~12カ月間の目標株価は、前回の4万5,000円を維持します。楽天証券の2023年3月期予想EPS 2,139.1円に、成長性と反動リスクを考慮し、想定PER20~25倍を当てはめました。
株式市場全体の下落が大きいため、株価回復には時間がかかると思われますが、引き続き中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:アドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)