ベトナムの投資の魅力は長期的な高成長期待
投資先としてベトナムが注目されている大きな理由がその高い経済成長期待とされます。世界の民間エコノミスト予想(市場予想平均)によると、ベトナムの2022年実質GDP(国内総生産)成長率は+7.3%と世界全体(+4.3%)や中国(+5.2%)を上回ると見込まれています。
成長期待の主因として、ベトナムの人口動態や1人当たりGDP(所得)の伸び予想が挙げられます。図表2は、IMF(国際通貨基金)が調査・予想している2026年までの総人口と1人当たりGDPの実績と予想です。
日本を含む先進国が少子高齢化に直面しているのを横目に、ベトナムの平均年齢はいまだ30歳で、生産年齢人口(15〜64歳)の割合が2040年ごろまで低下しないとの見通しが成長の追い風です。
ベトナムの総人口は2024年までに1億人を突破すると見込まれており、現在は3,000ドル台の1人当たりGDPは今後も伸び続け、ベトナム全体の名目GDPの拡大余地は大きいとされています。
中国の平均賃金上昇と政治的要因で「生産基地の分散化」(チャイナ・プラスワン)として、多国籍企業がベトナムに投資先や拠点を移管する動きが目立っています。
実際、日本企業のベトナム進出やベトナム投資は増えており、ジェトロ(日本貿易振興機構)によると、キヤノン、パナソニック、ホンダ、トヨタ自動車、富士通、日本電産、ブリヂストンなど約2,000社がすでにベトナムに進出しています。
また、ベトナムは貿易拡大やFTA(自由貿易協定)に積極的で「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が発効した場合の恩恵が最も大きい国」としても注目されています。
<図表2:総人口と所得の増加によりベトナムの成長期待は高い>
ベトナム自身がASEAN地域の中央に位置していることや、長い海岸を有するため貿易の拠点となりやすい地理的優位性も持ち合わせています。
同国の教育水準は高く、高い識字率と東南アジアトップクラスの数学リテラシーを誇るとされます。国民は手先が器用で、勤勉といわれており、昭和初期の日本と似ている点も指摘されています。
図表3は、2021年以降のベトナム通貨ドンの対円相場の推移を振り返ったものです。変動しながらも、100ドン当たりの円相場が下落基調(ドン相場が上昇基調)となっていることがわかります。
為替の円安基調が対ドン相場にみられることは、本邦投資家(日本居住者)にとってのベトナム投資に追い風と考えられます。
<図表3:ベトナム通貨ドンの対円相場は堅調をたどっている>