ベトナム株は日本株や外国株よりも優勢に推移
年明けの世界市場では、株式が調整を鮮明にしています。特に米国市場では、インフレや利上げ観測による景気の先行き不安で株価が下落。金融政策の利上げサイクル入りを織り込む債券金利上昇への警戒感が投資家のリスクオフ(回避)姿勢を後押ししました。
こうしたなか、本稿では国際分散投資先の一角としてベトナム(ベトナム社会主義共和国)株式に注目したいと思います。ベトナムは、南シナ海に面しているASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の一つで、地図を見ると国土が南北に長いことがわかります。
面積は約32万平方キロメートルと日本(約37万平方キロメートル)と近く、総人口は約9,762万人と1億人足らずではあるものの増加中です。日本とサイズ感は比較的近い一方、その潜在的な経済成長期待は高いとされます。
図表1は、2021年初来のベトナムのVN指数(ホーチミン証券取引所全銘柄の時価総額加重平均指数)、MSCI外国株指数(日本を除く世界株)、日経平均株価の推移を比較したものです。上下変動しつつも、ベトナム株が日本株や外国株よりも優勢に推移してきた実績がわかります。
最近は世界株式が調整に伴い、ベトナム株も年初来では下落していますが、中長期の視野に立てばベトナム株式に投資妙味があると考えています。
オミクロン型変異株の感染拡大や米国の金利上昇による潜在的な影響に留意はすべきですが、国際分散投資先の一つ(市場)としてベトナム株式に分散投資してみたい理由とその実践方法を記します。
<図表1:外国株式のなかでベトナム株の優勢が目立っている>
ベトナムの投資の魅力は長期的な高成長期待
投資先としてベトナムが注目されている大きな理由がその高い経済成長期待とされます。世界の民間エコノミスト予想(市場予想平均)によると、ベトナムの2022年実質GDP(国内総生産)成長率は+7.3%と世界全体(+4.3%)や中国(+5.2%)を上回ると見込まれています。
成長期待の主因として、ベトナムの人口動態や1人当たりGDP(所得)の伸び予想が挙げられます。図表2は、IMF(国際通貨基金)が調査・予想している2026年までの総人口と1人当たりGDPの実績と予想です。
日本を含む先進国が少子高齢化に直面しているのを横目に、ベトナムの平均年齢はいまだ30歳で、生産年齢人口(15〜64歳)の割合が2040年ごろまで低下しないとの見通しが成長の追い風です。
ベトナムの総人口は2024年までに1億人を突破すると見込まれており、現在は3,000ドル台の1人当たりGDPは今後も伸び続け、ベトナム全体の名目GDPの拡大余地は大きいとされています。
中国の平均賃金上昇と政治的要因で「生産基地の分散化」(チャイナ・プラスワン)として、多国籍企業がベトナムに投資先や拠点を移管する動きが目立っています。
実際、日本企業のベトナム進出やベトナム投資は増えており、ジェトロ(日本貿易振興機構)によると、キヤノン、パナソニック、ホンダ、トヨタ自動車、富士通、日本電産、ブリヂストンなど約2,000社がすでにベトナムに進出しています。
また、ベトナムは貿易拡大やFTA(自由貿易協定)に積極的で「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が発効した場合の恩恵が最も大きい国」としても注目されています。
<図表2:総人口と所得の増加によりベトナムの成長期待は高い>
ベトナム自身がASEAN地域の中央に位置していることや、長い海岸を有するため貿易の拠点となりやすい地理的優位性も持ち合わせています。
同国の教育水準は高く、高い識字率と東南アジアトップクラスの数学リテラシーを誇るとされます。国民は手先が器用で、勤勉といわれており、昭和初期の日本と似ている点も指摘されています。
図表3は、2021年以降のベトナム通貨ドンの対円相場の推移を振り返ったものです。変動しながらも、100ドン当たりの円相場が下落基調(ドン相場が上昇基調)となっていることがわかります。
為替の円安基調が対ドン相場にみられることは、本邦投資家(日本居住者)にとってのベトナム投資に追い風と考えられます。
<図表3:ベトナム通貨ドンの対円相場は堅調をたどっている>
ベトナム株式に分散投資する具体的な方法
ベトナムの現地株式に投資するにあたっては、個別銘柄リスクと比較的高い取引コストの壁があります。日本の居住者がベトナム株式の成長に沿う投資成果を目指すには、追加型公募投信を活用する方法があります。
図表4は、「DIAMベトナム株式ファンド(愛称:ベトナムでフォー)」の基準価額、ベトナムVN指数、MSCI外国株指数(日本を除く世界株)、日経平均の推移を2021年初来で振り返ったものです。
DIAMベトナム株式ファンドは、長期的な成長が期待されるベトナム株式に分散投資を実践する目的で運用されているファンドで、ベトナム企業の業績などのファンダメンタルズ、株価のバリュエーションなどに関する評価・分析をして銘柄を選定し、原則として対円での為替ヘッジを行わない方針で運用されています(設定運用:アセットマネジメントOne)。
同ファンドの運用純資産は約66.5億円となっており、100円から投資することが可能です。図表4で示すとおり、同ファンドのパフォーマンスは、ベトナム株式と通貨ドンの対円相場の堅調を映し、外国株式や日経平均を上回る優勢を示しています。
こうした追加型公募投信を保有することで、ASEAN諸国のなかでも高い成長が期待されているベトナム株式のポートフォリオを手軽に資産形成に組み入れることが可能です。
国際分散投資の「コア・サテライト戦略」のサテライト部分の役割を担う投資ツールの一つとしてご活用いただけると思います。
<図表4:DIAMベトナム株式ファンド「愛称:ベトナムでフォー」のパフォーマンス>
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