欧州のコロナ禍再拡大でユーロが急降下

 欧州では10月以降、新型コロナウイルスの感染が再拡大し、ドイツ、オーストリア、ベルギーでは一日の感染者数が過去最多となっており、再びロックダウンの動きが出ています。

 19日、ドイツの保健相が「国内の新型コロナ感染状況が極めて深刻なため、ワクチンを接種した人も含めてロックダウンを排除できない」と発言したことからユーロが急落しました。

 その後「ドイツの外相がドイツ全土のロックダウンの可能性について否定した」との報道が伝わると、ユーロは戻りましたが、22日には、ドイツのメルケル首相が国内の新型コロナ感染状況について「これまでよりもひどい状況」と発言したことから、再びユーロは売られています。

 このようにコロナの感染再拡大によってロックダウンや経済が規制され、欧州景気の回復が遅れるとの懸念が強まっています。

 また、オランダやベルギーではワクチン接種者でも外出禁止や接種の義務化などの規制強化に反発し、デモや暴動が起こっており、社会的に不安定になってきています。感染者の増加が収まらない限り、ユーロやユーロ/円の上値は重たい状況が続きそうです。

OPECの原油供給過剰予想で原油も下落

 原油については、WTI(世界最大規模の先物市場:ニューヨークマーカンタイル取引所で取引されている原油先物)で85ドル台から75ドル近辺へと下落しています。

 その背景は、OPEC(石油輸出国機構)の事務局長が、世界の原油需給バランスについて、(原油在庫が増えているため)早ければ12月にも供給過剰になり、来年もその状態が続くとの見通しを示したことや、IEA(国際エネルギー機関)の月報で、価格上昇を受け産油量が世界的に増加し、石油価格の上昇が鈍化する可能性があるとの見方を示したことが、原油価格を下押ししました。

 加えて、バイデン大統領が石油備蓄の放出を各国に働きかけたことも原油価格の下押し圧力となったようです。ただ、OPECの当局者が、「OPECプラスは国家石油備蓄放出なら計画を調整する可能性がある」との報道が流れ、原油価格は若干反発しました。

 11月23日、バイデン大統領は今後数カ月かけて戦略石油備蓄を5,000万バーレル放出すると発表しました。日本や中国、インド、韓国、英国と協調して実施するとのことです。

 この発表を受けて原油は一時急落しましたが、備蓄放出がすでに織り込まれていたことやOPECプラスの対抗策が意識され、WTIは78ドル台に上昇しました。

 原油動向は、インフレ長期化あるいはインフレ一服につながる話であり、12月2日のOPECプラス(石油輸出国機構=OPECと、非加盟国で構成される組織)の会合に向けて、波乱材料としてその動向に注目です。 

 足元では、FRBの早期利上げよりも欧州経済停滞懸念や原油価格の動きの方が、目が離せません。