インドやベトナムの株式市場が好調です。でも新興国単一の投資信託はやはりハイリスクなのですか?

ご回答

 ハイリスク・ハイリターンになりやすいといえます。

 単一国を投資対象とする投資信託は、特定の国や地域のカントリーリスクを負うことになるためです。

 新興国に限らず、単一国を投資対象とする投資信託は、その国のカントリーリスク(特定の国や地域の政治・経済・社会情勢の変化によって、投資した資産の価値が下がるリスク)を丸ごと負うことになります。

 もちろん、投資対象国の株式市場が大きく上昇すれば相応のリターンを期待できますが、新興国の場合は特に、短期間でマーケットが急落する可能性もあるため注意が必要です。

 過去5年間の単純なリターンの推移だけを見ると、インドやベトナムに投資するファンドは、新興国株式インデックスと比べ高いリターンをあげています。

 一方で、リスク(標準偏差)の水準に目を向けると、地域分散が効いている全世界株式や新興国株式の方が、標準偏差が低く抑えられていることが分かります。ファンドによって多少の差はありますが、単一国を投資対象とするタイプのリスク水準は、総じて高い傾向にあります。

新興国関連ファンドと全世界株式インデックスファンドの5年間リターン(基準価額再投資後騰落率)推移

注:楽天証券「投信スーパーサーチ」より
  ファンド名 年率リスク(%)
1年 3年 5年
全世界 eMAXIS 全世界株式インデックス 11.21 18.46 16.15
新興国全体 eMAXIS 新興国株式インデックス 13.47 20.70 17.96
インド 新生・UTIインドファンド 12.24 26.13 22.91
ベトナム DIAMベトナム株式ファンド 21.03 27.80 24.70
注:QUICKのデータをもとに楽天証券経済研究所作成(2021年10月末時点)

 新興国株式を取り入れるなら、まずは「新興国株式インデックス」で。保有資産全体の20~30%程度を目安にしましょう。あるいは、新興国を含む世界の株式を網羅した「全世界株式インデックス」で、部分的に新興国を取り入れるという方法もあります。

「全世界株式インデックス」に占める新興国の割合は10%程度と控えめですが、1本で地域分散が実現できるので、投資初心者の方には特におすすめです。