最終的な投資判断は「株価に聞く」のが無難
この点、筆者は次のように考えます。
「確かにファンダメンタルズは絶好調で株価は大きく上昇しそうに思える。でも株価が下がって下降トレンドになっているのだから、安易な買いは控えるべきだし、株を保有しているなら下降トレンドになったら直ちに売るべき」と。
つまり、筆者はいくらファンダメンタルズ分析が良好であっても、投資判断は株価のトレンドに沿って行っているのです。
先ほども申し上げた通り、個人投資家が行っているファンダメンタルズ分析と少なくとも同レベルの分析を、プロ投資家は行っているはずです。
ですから、ファンダメンタルズは絶好調と個人投資家が知っているなら、プロ投資家も当然ながら知っているわけです。それなのに株価が下がるということは、プロ投資家はファンダメンタルズが絶好調なのに、その株を買っていないのです。
では、なぜプロ投資家はその株を買わないのか? 理由はいろいろあると思いますが、可能性として考えられるのは、確かに足元のファンダメンタルズは絶好調だが、今後それが悪化する可能性が高いということを、独自の情報として入手しているためと推測できます。
もちろん、これは推測に過ぎませんから、プロ投資家の買いにより、下降トレンドに転じた株価が再び上昇トレンドに復帰することもあるわけです。そうなったら我々も同様に買い直せばよいだけです。
ファンダメンタルズが良好なのに、株価下落は「お買い得」なのではなく「要警戒」
海運株の良好なファンダメンタルズにこだわり過ぎた結果、いまだに損失を膨らませている個人投資家もいるようです。
「自分が行っている分析はプロ投資家も行っている、それなのに株価が上がらないのはプロ投資家が買っていないからだ。なぜプロが買わないかは分からないが、自分の知らない悪材料やリスクをプロは察知しているかもしれない。だから株価下落はおかしいわけではない」……このような思考過程を踏んでいけば、ファンダメンタルズが絶好調なのに株価が下がっていること自体が「尊重すべき事実」である点に気づくはずです。
ファンダメンタルズ分析はもちろん重要ですが、ファンダメンタルズ分析の結果と株価の動きが相反したときは、株価の動きを優先して投資判断することが、大ケガを防ぐポイントとなります。ぜひこの考え方を押さえておいてください。
ファンダメンタルズが良好なのに株価が下落しているのは、「お買い得」なのではなく「要警戒」なのです。