ファンダメンタルズ分析にこだわって失敗する個人投資家の特徴

 しかし一方で、ファンダメンタルズ分析にこだわり過ぎることで、逆に大きな損失を被ってしまう個人投資家も少なくありません。

 直近では海運株がそうですし、数年前のカーボン関連株、バイオ関連銘柄においてもファンダメンタルズ分析を重視し過ぎるあまり、致命傷といえるレベルの損失を被ったケースもあります。

 なぜ彼らが失敗するのか、それは「一生懸命その銘柄のことを分析するあまり、株価との矛盾を受け入れることができない」からです。

 ファンダメンタルズ分析で「この銘柄の株価は大きく上昇する!」と踏んで投資し、実際に株価も上昇している間は、当然ながら何の問題もありません。

 ファンダメンタルズ分析では相変わらず絶好調にもかかわらず、株価は逆に値下がりに転じて下げ止まらない……こうなると悲劇の始まりです。

自分の行っているファンダメンタルズ分析程度はプロも当然行っていると思うべし

 海運株を例に取ってみると、足元ではバルチック海運指数やコンテナ船運賃の指数などが上昇を続けています。海運株の利益がさらに増加するであろうと判断できるファンダメンタルズ面でも状況証拠が積み上がっています。

 筆者は、仕事と株式投資の両立のために、それほど深く個別銘柄のファンダメンタルズ分析を行うことはあまりありませんが、筆者の目から見ても、海運株についてプロ顔負けのファンダメンタルズ分析を行っている個人投資家も少なくありません。

 ただ、ここに一つ落とし穴があります。

 恐らく当の本人は「これだけ一生懸命分析をした結果、ファンダメンタルズは絶好調! だから株価は上昇するはずだ!」と無意識のうちに思い込んでしまっているはずです。ところが株価はなぜが下落をする一方……。

 こうした状況を見て、「ファンダメンタルズで見れば、株価は上がるはずだ! おかしい!」と思ってしまう、この思考が大失敗につながってしまうのです。

 ご自身で、本当にプロ並みにファンダメンタルズ分析ができているにしても、それと同じレベル、いや、おそらくそれを超えたレベルのファンダメンタルズ分析を、プロは実践しているはずです。個人投資家が行うファンダメンタルズ分析は、プロ投資家を超えることはないと思っておくべきです。