自然エネルギーの利用拡大にガス火力が必要な事情

 脱炭素を進め、最終的に自然エネルギーだけで人類が使用するエネルギーのすべてをまかなえるようにすることが理想です。それには相当長い年月がかかりますが、私は実現可能と考えています(詳しくは別レポートで解説します)。

 ただし、移行過程で人類はガス火力発電にどうしても頼らなければならない事情があります。

【1】自然エネルギーは気まぐれ、調整電源としてガス火力が必須

 自然エネルギー発電の多くは、気まぐれです。太陽光や風力はその典型です。突然大量に発電されたり、まったく発電がなくなったりします。

 電気は、保存ができないため、需給調整が難しく、自然エネルギーが電源に占める比率が高くなると、無駄に電気を捨てる問題や、停電が頻発する問題が起きます。

 常時、同時同量(発電量と電力使用量を一致させる)を実現するには、自然エネルギーの発電量の変化に合わせて、発電量を増やしたり減らしたりする調整電源が必要です。調整電源として大規模に活用可能なのは、現時点でガス火力発電しかありません。

【2】石炭火力を代替できるのは、当面、ガス火力しかない

 地球規模で脱炭素を進めるならば、経済規模がきわめて大きくなった中国やインドが電源の6~7割を石炭火力に頼っている問題を、看過できません。

 石炭火力に頼り切っている国で、いきなり自然エネルギー発電を拡大することは難しく、まずはガス火力発電を拡大するしかありません。

 自然エネルギー発電を拡大する努力が必要なことに違いありませんが、当面は代替電源としてガス火力を使っていくしかありません。