「脱石炭」が求められている電力・鉄鋼産業
脱炭素が叫ばれる中、石炭火力発電に対し世界中で急速に風当たりが厳しくなっています。石炭火力への新規融資停止、新規建設停止、さらに将来的には環境税などのペナルティを科す検討が世界中でされています。
石炭使用が大きい産業として電力の次に批判の的となるのが、製鉄業(高炉)です。鉄鉱石から銑鉄を作る際に、還元剤として石炭を使用するため、電力産業とともに問題視されています。
それに対し、日本の高炉(日本製鉄やJFE)はCO2回収を進めますがそれだけでは済まず、将来的に水素製鉄にシフトする方針を打ち出しています。還元剤として石炭ではなく水素を使う製鉄方法です。
CO2(二酸化炭素)の代わりに、H2O(水)が排出されるので、クリーンな製鉄方法となります。ただし、実現までに、莫大な研究開発費と設備投資費が必要となることが製鉄業の重荷となります。
中国は、CO2使用の大きい製鉄業(高炉)を無尽蔵に拡大してきた戦略から転換しつつあります。中国が粗鋼生産の拡大を抑え始めたことが、世界的な鉄鋼市況の上昇につながり、鉄鋼ブームを生んでいます。
中国は高炉の拡大を抑える中で、電炉(くず鉄を電気炉で溶かして再生する製鉄方法)への転換もはかっています。そうなると石炭消費は減りますが、電力の需要は拡大します。それを補うためにもガス火力発電の拡大が必要になります。