権利確定日の数カ月前に買い、権利付き最終日に売却する

優待も大好き、というまつのすけさん。クロス取引で優待タダ取りもうよく行う手法。
クロス取引とは、
1.狙っているA社の株の権利付き最終日までにA社の株を「信用売り」
2.さらに同数を「現物買い」
3.そして権利付き最終日の翌日(権利落ち日)に信用売りと現物買いを相殺し、すべての売買を終了
4.信用売りと現物買いを相殺させるため、価格変動によるリスクがないため、低リスクで株主優待の権利を獲得できる。

──他にもありますか?

 これはご存じの方も多いかもしれませんが、「株主優待先回り」と呼ばれる投資法があります。株主優待は「権利確定日」に所定の株数を保有している株主に対して贈呈されます。そのため、人気の高い株主優待を実施している企業の株は権利確定日の数カ月前から買いが増える傾向にあります。優待を取得しようとする個人投資家が買いに走るわけです。

──結果、株価が上昇するのですね?

 はい。権利確定日の2~4カ月前から緩やかに株価は上昇します。で、権利付き最終日を過ぎると買う人が激減するので、大きく下落します。そこで権利確定日の2~4カ月前に買い、権利付き最終日前に売却するという作戦が成り立つわけです。

──投資ビギナーでも簡単にできそうですね。

 はい、ただし、株主優待を実施している企業ならどこでもいいというわけではなく、「人気が高い」ということが条件になります。

──それはそうですね。

 人気の高い株主優待を実施している企業だと大きく株価が動くこともあります。1つ例を挙げると、マックスバリュ東海という銘柄があります。イオングループの各店舗で利用できる優待券がもらえるとあって、株主優待ファンには絶大な人気を誇るのですが、この銘柄の権利確定日の4カ月前から権利付き最終日までの株価の推移を見ると、過去10年中(2008~2017年)8年は上昇しています。しかも、2012年などは1,128円から1,415円と25%も上がっています。もちろんほかの要因が加わった可能性もありますが、かなり大きな上昇率と言えるでしょう。

──その10年間、この売買だけ行っていたら資産はそうとう増えたでしょうね。

 はい、約2.5倍に増えた計算になります。

──株主優待はあいかわらず人気ですから、ここ以外にも狙える銘柄はたくさんありそうですね。

 探せば他にも数多く見つかると思いますよ。ただし、この方法もリスクがないわけではありません。例えば株を買った後、業績不振に陥ったり、不祥事が発覚したら、一気に株価は下落します。そういう意味では、たとえ人気のある優待株でも業績のチェックを疎かにしないことが大事でしょう。