個人投資家は企業にIR情報を求めてはならない
筆者が個人的に気になっている点があります。株式投資に関連するネットの掲示板などを見ると、株価が値下がりしている銘柄では「会社は早くIRを発表して株価を上げてほしい!」という発言が目立っていることです。
「IR情報を出せば株価は上昇する!」という個人投資家の考え方が、企業側にプレッシャーをかけ、「IR情報=株価を上昇させるためのもの」という誤った認識を植え付けているのではないかと筆者は危惧しています。
しかし、そもそもIR情報は株価を上昇させるためのものではなく、企業の情報をタイムリーに、かつ正確に発信して、投資家の投資判断に寄与する情報提供をするためにあります。
IR情報は株価を上昇させるためにある、という勘違いをする個人投資家が多ければ多いほど、IR情報により株価は企業実態とは異なる動きとなり、余計な乱高下により損失を被ってしまうリスクが上がってしまいます。
私たち個人投資家は、IR情報は株価を動かすためにあるのではなく、あくまでも「企業の実態をタイムリー、かつ正確に企業側が発信するもの」に過ぎないという意識を持つべきだと思います。
IR情報を株式投資に活用するなら併せて売買ルールの徹底を
IR情報は投資家にとって真に有益で必要なものと、あまりそうとは言えないものとが混ざっています。
そうした状況を踏まえ、これらのIR情報を株式投資に活用する場合に、個人投資家はどのような点に気をつけなければならないでしょうか。
例えば、株価上昇が期待できると自分自身で感じるような内容のIR情報が発表され、その株を買ったとしましょう。
もちろん、その後株価が上昇を続ければ成功ですが、時には株価が上昇しなかったり、逆に株価が下がってしまうようなこともあります。
この場合、適切な対応をしないと、さらなる株価下落により含み損を抱えた塩漬け株が発生してしまいます。
この点、筆者は「高値づかみをしないようにする」「適時に損切りをする」の2点を必ず守るようにしています。
「高値づかみの回避」と「損切りの実行」がポイント
「高値づかみをしないようにする」は、IR情報により一時的に株価が上昇し、その後すぐ失速してしまう可能性への対処です。
筆者は、どんなに素晴らしいIR情報が出たとしても、原則として25日移動平均線からのプラスかい離が10%を超えた場合は買わないようにしています。それ以上株価が上昇したなら、仕方ないとあきらめます。
なお、例外的に「これはさすがに株価の大きな上昇は間違いないだろう」と思ったときは、かい離率10%を超えて買うこともあります。この場合も投資資金を大きくしすぎないようにして、かつ損切り価格を事前に設定し、その損切りによる損失を自身が許容できると判断したときだけ買うようにしています。
「適時に損切りする」は、損失の拡大を防ぐために必要です。筆者であれば25日移動平均線を割り込んだら損切りとします。例外的に、25日移動平均線から大きく上方にかい離したタイミングで買ったようなときは、25日移動平均線割れで損切りとすると損失が大きくなるので、5日移動平均線割れで損切りしたりすることもあります。
4回にわたるIR情報に関する連載は今回で終了です。IR情報を上手に活用して、皆さんの銘柄選定にぜひ役立ててくださいね。
≫足立武志のIR特集1を読む
≫足立武志のIR特集2を読む
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【ご注意事項】
IRに関する記事は、楽天証券が特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。IRに関する最新情報は、各企業のホームページをご確認ください。