企業側が独自に開示するIR情報は「玉石混交」
前回(足立武志のIR特集3)の後半にて、IR情報には、法令や取引所ルールにより開示が義務付けられているもののほか、企業が独自に投資家のために開示している情報も数多くあるとお伝えしました。
月次売上高の報告や、決算発表の説明・補足資料、中期経営計画などは個人投資家にとっても非常に有用です。ただ、この企業独自のIR情報には特に規定はありませんので、まさに「玉石混交」の状態になっています。
中には、それほど業績に影響があるとも思えないのに、「◯◯社と業務提携しました」とか「◯◯に関する新商品開発に着手しました」「◯◯の新分野に進出することを決定しました」といったようなIR情報を連発する会社もあり、開示することに意味があるのか? と首をかしげるようなケースもあります。
IR情報を連発する企業側の思惑とは
では、あまり意味のないように思えるIR情報を連発する企業側は、どのような思惑があるのでしょうか。端的に言えば「株価を上昇させたいから」です。
IR情報を連発していれば、時には投資家の目にとどまり株価も上昇する可能性は確かにあります。
しかし、そうした株価上昇は一過性であることが多く、株価が上昇したところを個人投資家が買うと、高値づかみになってしまう危険性も高いです。
中には、コンサルタントの指導を受けながらIR情報を次々と発信しているような企業もあると聞きました。これでは逆に投資家を混乱させてしまうのではないかと思います。