※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]J-REIT(ジェイ・リート)上昇 平均分配金利回り3.3%まで低下 利回りの魅力低下」
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「東証REIT指数」はコロナ・ショック前の水準に近づく
東証REIT指数【注1】は、2020年2月から3月にかけて、コロナ・ショックで暴落しました。流動性があまりない中で投げ売りが出たため、一時ほぼ半値になる暴落となりました。
【注1】東証REIT指数
東京証券取引所に上場しているREIT(リート:不動産投資信託)全銘柄から構成される指数。時価総額加重平均で、時価総額の大きい銘柄ほど組入比率が高くなる。東証に上場しているREITを、海外REITと区別するために、J-REIT(ジェイリート)と呼ぶこともある。
東証REIT指数の動き:2020年1月6日~2021年8月31日
コロナ・ショックで、キャッシュ保有を増やしたい金融機関などから「問答無用の売り」が出たことが、極端な下げにつながりました。3月には平均分配金利回りが一時6.7%まで上昇しました。
さすがに割安と判断した買いが増え、そこから5月まで指数は急反発しました。その後も利回りを評価した買いが続き、順調に上昇が続いています。
2021年8月末時点で、東証REIT指数は2,151.96まで上昇し、コロナ・ショック前の水準に近づいています。ただし、東証REIT指数の平均分配金利回りは、指数の上昇によって低下しました。8月末時点で3.3%まで下がり、利回りの魅力は低くなりました【注2】。
【注2】平均分配金利回りの上昇・下落
REITの分配金利回りは、1株当たり分配金(会社予想)をREIT価格で割り、年率換算して算出。1株当たり分配金が変わらないまま、REIT価格が上昇すると、分配金利回りは低下する。一方、1株当たり分配金が変わらないまま、REIT価格が下落すると、分配金利回りは上昇する。実際にはコロナ・ショックで、ホテルREITなどに分配金引き下げがあった。
東証REITの平均分配金利回りは「4%くらいが妥当」と私は判断しています。3.3%まで低下した現在の利回りについて、私は「やや低過ぎる」と感じています。言い方を変えると、今のREIT市場(全体平均)は「やや買われ過ぎ」と考えています。
個別には投資魅力の高い銘柄もありますが、市場全体では投資魅力がやや低くなったと考えています。以下に、東証REIT指数に利回りを書き込んだチャートを再掲します。
東証REIT指数の動き:2020年1月6日~2021年8月31日
上のチャートで、利回り4.0%のところに線をひいています。その辺りが妥当水準で、そこより上は「やや買われ過ぎ」、それより下は「やや売られ過ぎ」と私は判断しています。ただし繰り返しになりますが、それはあくまでも市場全体の見方で、REIT個別銘柄では魅力的な銘柄もあります。