成長分野で手堅いオススメ2銘柄

注目の米国株4:シー(SE)

 同社は、爆発的に成長したEC(電子商取引)企業です。現在は東南アジアを中心に利用者を拡大させています。

 決算資料を見ても、特に2020年の新型コロナ感染拡大の状況下において、収益を急激に伸ばしていることが分かります。売り上げが2倍以上拡大していることが印象的です。

SEの株価年間チャート

注:オレンジの折れ線はSPY(S&P500)、青の折れ線はSE
出所:Bloomberg

シーの収益推移

出所:シー

 二つのポイントが、同社の成長を今後も後押しすると考えられます。

 一つは、アジア地域のGDPが2030年には世界の60%、24億人の中流階級の90%を、アジア太平洋地域が占める可能性があることです。

 もう一つは、世界のEC売り上げ予測が、2021年現在の5兆ドル(523兆円)規模から2023年までに6.5兆ドル(680兆円)規模になることが分かっています。

 CAGR(年平均成長率)としては約13.9%と考えられます(1ドル=104.6円換算)。

リスクは?

 EC業界の競合他社は群雄割拠です。アマゾンはもちろん、米国はスクエア・ショッピファイ、中国はアリババ、南米はメルカドリブレなど競合だらけです。またM&Aなども積極的に行われている業界です。

 ただし、各社とも市場の寡占化を進めるために投資を拡大していることで、利益面が安定しない懸念があります。

 さらに念頭におきたいことがもう一つあります。中国のテンセントが大株主であることです。中国当局の規制が入ると、影響を受ける可能性があります。

株価 309.33ドル(2021年8月20日終値)
2020年売上高 約43億ドル
2020年営業利益 約▲13億ドル
2020年営業利益率 約▲29.79%
時価総額 約1,663億ドル
注:2021年8月20日現在

 

注目の米国株5:セレンス・インク(CRNC)

 自動車業界におけるAI(人工知能)の音声分野で成長を続ける企業です。同社のAIシステムは欧州のフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツを中心に導入されています。

 キャッシュフローが設備投資面で弱い面がありますが、先行的に契約締結しているため、安定した成長を見込める部分があります。

 直近(2021年4-6月期)の決算結果(2020年同期対比)を確認します。

 売上高は9,680万ドル(+29%)、純利益580万ドル(前年比▲2,800万ドル)、営業利益率15.4%(▲5.7%)でした。

CRNCの株価年間チャート

注:オレンジの折れ線はSPY(S&P500)、青の折れ線はCRNC
出所:Bloomberg

リスクは?

 今後、AI分野の競合が増えること、そして、同社が成長過程にあるため、キャッシュフロー面で心配があります。また、自動車メーカーによるAI内製化が進めば、同社のシステムが排除される可能性も懸念されます。

株価 108.81ドル(2021年8月20日終値)
2020年売上高 約3.3億ドル
2020年営業利益 約▲0.23億ドル
2020年営業利益率 約▲6.96%
時価総額 約41億ドル
注:2021年8月20日現在