日本の内需は来年回復、米景気は減速しても2%台の成長続くと予想

 日本の景気回復が遅れていることについて、私は深刻な問題だとは考えていません。いずれワクチン接種が進めば、日本でも遅れて「リベンジ消費」(コロナ禍でできなかった消費がまとめて出ること)が盛り上がると考えているからです。

 ワクチン接種が進んでいる60歳以上の感染が減っていることを考えると、50代以下の接種が進めば、経済活動は少しずつ正常化すると期待できます。

 変異株の拡大という不安があるので、海外旅行解禁までには長い年月を要すると考えられますが、国内限定の人の移動は来年には回復してくると予想しています。

 世界景気について、来年「減速」するのはほぼ確実ですが「失速」には至らないと考えています。IMF(国際通貨基金)「世界経済見通し(2021年4月)」によると、2020年にコロナ禍で▲3.5%落ち込んだ米国GDP(国内総生産)は、2021年に+6.4%、2022年に+3.5%伸びると予想されています。

IMFによる世界各国のGDP成長率予想:2021年4月時点

  2020年 2021年予想 2022年予想
世 界 -3.3% 6.0% 4.4%
米 国 -3.5% 6.4% 3.5%
日 本 -4.8% 3.3% 2.5%
ユーロ圏 -6.6% 4.4% 3.8%
中 国 2.3% 8.4% 5.6%
インド -8.0% 12.5% 6.9%
ASEAN5 -3.4% 4.9% 6.1%
ブラジル -4.1% 3.7% 2.6%
ロシア -3.1% 3.8% 3.8%
南アフリカ -7.0% 3.1% 2.0%
出所:IMF「世界経済見通し(2021年4月)」

 私は、米国GDPは今年6.4%伸びた後、来年は2.5%成長に減速すると予想しています。IMFの見通しはやや高過ぎると考えています。

 それでも2%台の成長があれば、巡航速度の拡大が続いていると見なせます。もし米国の来年の成長が1%台にとどまると株式市場で「米景気失速」が意識されるようになりますが、そこまで減速しないと予想しています。

 したがって、私は、日本株は過度な悲観を織り込んで「売られ過ぎ」と見ており、今は「買い場」と判断しています。