日経平均がTOPIXより弱くなる2つの理由

【1】組み入れ比率上位のファストリ、ソフトバンクGが軟調
 日経平均は、225銘柄の株価から計算されます。特徴として、時価加重平均ではないことにより、値がさ株(株価水準の高い銘柄)の構成比が高く、低位株(株価水準の低い銘柄)の構成比が低くなる傾向があります(株式分割の影響は排除するように除数を調整)。

 ファーストリテイリング(以下ファストリと表記)など、一部の値がさ株の影響が大きく出る傾向があります。

日経平均の構成比上位3銘柄:7月16日時点

コード 銘柄名 株価 日経平均
構成比
時価総額
9983 ファーストリテイリング 77,520.0 9.97% 8.2兆円
8035 東京エレクトロン 45,500.0 5.85% 7.2兆円
9984 ソフトバンクグループ 7,481.0 5.77% 12.9兆円
出所:QUICKより作成。株価は7月26日現在。単位は円。

時価総額が大きい割に、日経平均の構成比が低い3銘柄

コード 銘柄名 株価 日経平均
構成比
時価総額
7203 トヨタ自動車 9,866.0 1.27% 32.2兆円
9432 NTT 2,875.0 0.15% 11.2兆円
8306 三菱UFJ FG 589.6 0.08% 8.0兆円
出所:QUICKより作成。単位は円。

 日経平均は、昨年上昇率が高かったファストリやソフトバンクグループが今年、軟調に推移している影響を受けています。

 ファストリは、これまでアジアで売り上げを拡大する成長株として高く評価されてきましたが、3月以降、ウイグル綿調達問題にかかる不透明感から株価は下落が続いています。3月2日に11万500円まで上昇した株価は、7月16日に7万7,520円まで売り込まれています。

 ソフトバンクグループは、世界的なハイテク株上昇の恩恵から2021年3月期に純利益約5兆円と過去最高益を更新したことが好感されましたが、今期は反動で減益となることが懸念されています。3月16日に1万695円まで上昇しましたが、7月16日には7,481円まで下がっています。

【2】日銀が日経平均連動ETFの買い付けを止めた影響も
 3月の金融政策決定会合で、日本銀行は年6兆円のETF(上場投資信託)買い付け方針を撤廃。株価暴落時など必要な時に、年12兆円を限度にETFを買い付ける方針は残しましたが、日経平均連動型は買わず、TOPIX型などに限るとしました。

 実際、4月以降、日銀のETF買い付け額は激減しています。7月の急落局面でもまったく買っていません。

日本銀行による日本株ETF買い付け額:2015年1月~2021年7月(16日まで)

出所:日本銀行HPより作成