マイクロン・テクノロジー
1.2021年8月期3Qは、36.5%増収、営業利益2.0倍
マイクロン・テクノロジーの2021年8月期3Q(2021年3-5月期、以下今3Q)は、売上高74億2,200万ドル(前年比36.5%増)、営業利益17億9,900万ドル(同2.0倍)となりました。
製品別売上高を見ると、主力製品であるDRAMが今3Q54億4,800万ドル(前年比51.9%増、今2Q比22.6%)と大幅増収となったことが大きく寄与しました。旺盛な需要によって前年比で数量が伸びただけでなく、平均単価が今2Q比約20%上昇しました。ビット出荷は今2Q比1~5%増(一けた前半の増加)でしたが、これは供給能力が不足していることによります。
NANDは売上高18億1,200万ドル(前年比8.8%増、今2Q比9.8%増)となりました。今2Q比ではビット出荷は1~5%増、平均単価も1~5%増と伸びました。
また、ビジネスユニット別(用途別)売上高を見ると、コンピュート&ネットワーキング(パソコン、サーバー等向け)が33億400万ドル(前年比49.0%増)、モバイル(スマートフォン等)が19億9,900万ドル(同31.1%増)と好調でした。ただし、ストレージ(SSD)は10億900万ドル(同0.5%減)と横ばいでした。一方、組み込みは11億500万ドル(同63.7%増)と大幅に伸びましたが、これは自動車向け、特に、自動運転システム向けとEV向けのDRAM、SSD(NAND)が寄与した模様です。
営業利益は好調でしたが、今2Q決算時の会社側ガイダンス18億9,000万ドル~20億7,500万ドルは未達となりました。これは、今2Qに決めたインテルと共同開発していた次世代不揮発性メモリ「3D XPoint」の開発中止に伴い、開発拠点の工場をテキサスインスツルメンツに売却することになりましたが、それに伴い減損等の損失が4億3,500万ドル発生したためです。
表3 マイクロン・テクノロジーの業績
表4 マイクロン・テクノロジー:テクノロジー別売上高
表5 マイクロン・テクノロジー:ビジネスユニット別売上高
2.DRAM、NANDともに需要増加が続こう
今4Qも、DRAM、NANDとも需要増加と平均単価上昇が続く見通しです。会社側の今4Qガイダンスは、売上高80~84億ドル(前年比32.1~38.7%増)、営業利益26.7~29.7億ドル(同2.3~2.6倍)ですが、楽天証券ではこの上限と予想しています。この結果、今期2021年8月期は楽天証券では、売上高278億ドル(同29.7%増)、営業利益63億ドル(同2.1倍)と予想します。前回予想の売上高273億ドル、営業利益58億ドルから上方修正します。
来期2022年8月期は楽天証券では、売上高370億ドル(同33.1%増)、営業利益120億ドル(同90.5%増)と予想します。前回予想の売上高342億ドル、営業利益100億ドルから上方修正します。来期もDRAM、NANDとも需要増加と平均単価上昇が続くと予想されます。
DRAMでは今の主力であるDDR4からDDR5へ、NANDでは同じく128層から176層への転換が進むため、これがコスト増加要因にもなります。ただし、DRAM、NANDとも引き続き平均単価上昇が予想されるため、好業績が予想されます。
2021年8月期の設備投資は95億ドル強になる見込みです(2020年8月期は82億2,300万ドル)。前期からの増加分はEUV露光装置の前払い金、建設支出等に充てられます。EUV露光装置は2024年からDRAMラインで稼働する予定です。
グラフ6 マイクロン・テクノロジーの設備投資:四半期ベース
グラフ7 マイクロン・テクノロジーの設備投資:年度ベース
3.今後6~12カ月間の目標株価は前回の140ドルを維持する
今後6~12カ月間の目標株価を、前回と同じ140ドルとします。今3Q決算発表後、株価は軟調な展開ですが、今期、来期ともに好業績が期待できること、DRAMスポット価格は、最近は一進一退が続いていますが、マイクロンの業績にとって重要なDRAM大口価格が上昇局面入りしていることから、前回の目標株価を維持します。
引き続き投資妙味を感じます。
グラフ8 DRAMのスポット市況
グラフ9 DRAMの市況
グラフ10 NAND型フラッシュメモリの市況(2017年5月29日から)
グラフ11 マイクロン・テクノロジーの売上高と営業利益
本レポートに掲載した銘柄:TSMC(TSM、台湾、NYSE ADR)、マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)