日本株が売られる理由

 米国株と日本株が逆方向に進むようになった最大の理由は、日本の景気回復の遅れ。米国の製造業と非製造業の景況感が、コロナ前で好調だった2018年の水準を少し超えているのに対し、日本は製造業・非製造業ともコロナ前に届かない水準です。特に、非製造業の回復が遅れています。

米ISM製造業・非製造業景況指数:2018年1月~2021年6月

出所:米ISM供給管理公社

日銀短観:大企業製造業・非製造業DI:2018年3月~2021年6月

出所:日本銀行

 東京に4度目の緊急事態宣言を発令、東京五輪を無観客とする決定を政府が発表したことも、外国人投資家に嫌気されました。

 ただでさえ遅れている日本の景気回復がさらに遅れる懸念を生じました。製造業は米景気回復の恩恵を受けて回復が続いていますが、自動車の回復に、足元ブレーキがかかりました。半導体不足の影響が深刻で、生産に影響が出ています。

 日本だけでなくアジア全般に、欧米と比べてワクチン接種の遅れとコロナからの回復の遅れが目立ちます。バンコク(タイ)とホーチミン(ベトナム)では、コロナ感染拡大を受けて、事実上の都市封鎖が発令されました。東京と同様、ワクチン接種の遅れが経済の足かせとなっています。

 欧米でコロナ感染拡大が深刻だった昨年、アジアは相対的に感染を抑えていて「欧米に比べてコロナ対策の優等生」と見られた時期がありました。ところが、今その評価が逆転しました。欧米は、ワクチン接種が進み経済再開が急ピッチで進みます。

 一方、アジアはワクチン接種が遅れ、今まだ感染拡大を抑えるための対策が必要になっています。こうした状況を受け、外国人投資家は「アジア売り・欧米買い」に動いており、その一環で日本株も売っていると思われます。