景気循環に過度にベットすべきではない。「景気1サイクル投資」の勧め

 今年も来年も、巡航速度の世界景気拡大が続くと考えるならば、世界的な株高は長期化すると考えられます。ただし、早々に米景気が過熱して、来年にも失速すると、世界景気も腰折れするリスクが出ます。そうなると、世界的な株高は終了時期が近づくことになります。

 ただし、景気判断は水物です。将来の景気を正確に予想するのは至難の技です。将来の景気予測が外れることも、よくあります。したがって、景気予測に過度にベット(賭ける)した投資戦略を立てるべきではありません。

 それでは、私たちは資産運用において、どういうことに気をつけたら良いでしょうか? 

 私は、過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやり、公的年金や投資信託の運用をしてきました。私が日本株ポートフォリオを組む時にいつも心がけていたのは、「景気1(ワン)サイクル投資」です。

 景気が良くなると、いつまでも良い状態が続くと勘違いしがちですが、いつか必ず悪くなります。また、景気が悪くなると、いつまでも悪い状態が続くと勘違いしがちですが、いつか必ず良くなります。

 いつ景気が良くなるか、悪くなるか、思い込みで投資して外れると、大けがします。そうならないように、いつでも、景気1サイクル、株を持ち続けるつもりで株の銘柄を選別するのが「景気1サイクル投資」です。

 景気が良いときに買った株は、その後、景気が悪くなり、また良くなるまで持ちます。また、景気が悪いときに買った株は、その後、景気が良くなり、また悪くなるまで持ちます。

 誰もが景気が良くなる時だけ株を保有し、悪くなる時は株を持っていないようにしたいと思っています。ところが、景気予測は簡単に当たるものではありません。多くのエコノミストが強気のときに、景気は急に悪くなります。みなが悲観の底に沈んでいるときに、突然、景気回復が始まります。

 景気を当てて、いいタイミングで売買しようという思いが強すぎると、かえって高値買い・安値売りになります。

 私は、ファンドマネージャー時代に投資銘柄を選ぶときは、常に「景気1サイクル」もって、ベンチマーク(東証株価指数)を上回るパフォーマンスが得られると思うものを選んできました。

 私は今、日本株は割安で、長期投資で資産形成に寄与すると見ています。個別銘柄を選別することに自信が持てない方は、日経平均インデックスファンドに「景気1サイクル投資」していくだけでも、良好なリターンが得られると予想しています。景気1サイクルですから、今後、景気が一度悪化し、そこから回復するまで持つということです。

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