カギを握るのは「勇気ある」リバランス

 インデックスファンドを複数保有して自分でポートフォリオを作る場合、「リバランス」がきちんと行えるかどうかが重要なポイントになります。

 リバランスとは、相場変動によって変化した資産の配分比率を、当初の状態に戻す作業です。
特定の資産(ファンド)が値上がりして配分比率が高くなると、必然的にその資産のポートフォリオにおける影響力が大きくなります。ある資産の影響力が大きくなると、変動リスクが高まり、想定した運用ができなくなる可能性があります。

 リバランスはこれを避けるため、上昇した資産を売り、比率の低下した資産を買い増すことで資産配分を元の比率に修正し、同時にポートフォリオ全体のリスクも当初の水準に戻すのです。

 一見すると簡単そうですが、強い意志を持ってリバランスを行うのは案外難しいものです。というのも、前述したように、リバランスを行うということはつまり、現在値上がりしている資産を売却すると同時に、その売却した資金を使って現在値下がりしている資産を買い増すことになるからです。

 年金運用などのプロの投資家の世界では、日々当たり前のように行われていることですが、個人投資家が感情に惑わされることなく、半ば機械的にリバランスを行うのは、現実にはかなり勇気がいることです。

 2020年春以降の、いわゆるコロナ・ショック後の市場環境と照らし合わせてみた場合、米国株式はまず間違いなく売却の対象になります。値上がりしている「優等生」ほど愛着が湧き、さらに買い増しをしたくなりますが、リバランスを行うにあたっては、グッとこらえて値上がり分を売却します。

 同時に、売却した資金を使い、その時点で価格の戻りに時間がかかっている資産を買い増します。足元1年間でみると、REIT(リート:不動産投資信託)が典型例です。

 また、米国株式を一部売却した資金で、そもそも米国株式とは異なる値動きをする金(ゴールド)や新興国株式を買い増すというのも、リバランスの一つの形です。

 価格があまり動かなかったり、出遅れ感があったりする「劣等生」には、今後の上昇を期待しにくいかもしれませんが、価格が低いときに買っておくことは、リバランスの醍醐味でもあります。

 現に、出遅れ感のあった先進国リートのほか、金(ゴールド)も、今年2021年2~3月ごろから、じわりじわりと上昇しています。リバランスは、「あのときに買っておけば…」と後悔しないために行うものでもあります。