facebook twitter
大統領選挙後の株式相場
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

大統領選挙後の株式相場

2016/11/4
いよいよ大統領選挙まであと一週間となりました。選挙後すぐに結果が判明していない可能性も十分考えられますが、少なくとも今年、株式市場にとって最大とも言える不透明要因・イベントが通過するのはもうそれほど先ではなくなりました。
facebook twitter メールで送る 印刷

いよいよ大統領選挙まであと一週間となりました。選挙後すぐに結果が判明していない可能性も十分考えられますが、少なくとも今年、株式市場にとって最大とも言える不透明要因・イベントが通過するのはもうそれほど先ではなくなりました。今年初め、2016年の米国株式相場の予想を聞かれた際、私は「今年は大統領選挙を控えているので、それまでは上昇しにくいだろうが、大統領選挙が終わるくらいから上昇に弾みが付くだろう」と申し上げました。今年S&P500指数はこれまで3%しか上昇していないのでこれまでは予想通りなのですが、一方で「大統領選挙後、上昇に弾みが付く」という考えも現時点で全く変わっていません。

市場には大統領選挙以外にいくらでも材料はありますが、やはり不透明要因という点では選挙に勝るものはなく、歴史的にも大統領選挙を控えた10カ月間は冴えない相場展開となることが多いものです。特に、2期(8年)続いた大統領の任期後半には株式相場が大きく調整する傾向が見られます。ニクソン大統領は8年続きませんでしたが一応2期目、レーガン大統領時は1987年ブラックマンデー前がほぼ高値、クリントン大統領は任期満了の10カ月前からITバブル崩壊、そしてブッシュ大統領は任期満了の1年半前から金融危機に見舞われ、今年初めにも株式相場は一時大きく下落しました。相場の下落材料としては大統領に直接関係ないと思われるものもありますが、大統領選挙を控え、少なくともこのような調整を支えられるようなサポートが出にくい状況になっていたことは確かでしょう。

またビジネスを営むにあたっても当然、大統領選挙の動向は気になるところでしょう。ビジネスプランを立てる際、殆どの場合少なくとも3年以上先を見据えた経営を考えると思います。しかしそのような時、大統領が交代することをきっかけに様々な政策が変わるとなると、大統領選挙が終わってきっちり政策が明確になるまで雇用や設備投資は控えようということになるでしょう。市場では例えば、薬価抑制につながる法律が成立する可能性が高まれば薬品株には大きな打撃でしょうし、金融規制が強化されるとなれば、ウォール街の金融機関にとっては痛手となるでしょう。こうして大統領選挙前というのは当然のことながら、ビジネスも投資も控えられがちになるはずです。

このように、大統領選挙というのは確かに大きな不透明要因です。しかしこの場に及んで投資において重要なことは第一に、不透明感は十分過ぎるほど既に相場には織り込み済みであり、第二に、間もなくその不透明要因は無くなる、という事実なのです。大統領選挙の結果を受けて改めて「新大統領の下でアメリカはどうなるのだろう」と心配するのは自由ですが、それはそもそも大統領選挙のずっと前から続いてきた心配であり、相場が同じ心配を二度も三度も織り込みに行ってくれると期待するのは非合理的です。

またそもそも実際問題として、大統領が代わることを、本当にそれほど心配しなければならないのでしょうか?私は特に今年、大統領選挙が経済や市場に与える影響について聞かれる機会が多くありました。しかし一般の人が考えているほど「大統領選挙」が経済や市場に与える影響は大きくないと思います。というのは、アメリカで法律成立に当たってより重要な役割を果たすのは議会です。基本的にアメリカの法律は、上院、下院の両方で承認され、大統領の署名を経て成立することになっています。大統領には拒否権はありますが、差し戻されても議会で3分の2の賛成を得ればその法律を成立させることができます。現実的には現在、上院も下院も、3分の2の賛成を得るというのは極めて困難なため拒否権は有効ですが、逆に議会の協力無しに法律を成立させること、即ち経済政策を実行することは出来ないのです。

近年、地政学的リスクの高まりにより、軍の最高司令官としての役割がクローズアップされてきた感はありますが、こと経済政策に関しては法律の成立が必要なわけですから、大統領の権限で何でもかんでも出来るわけではないのです。要するに経済に与える影響を考えるに当たっては、大統領に誰がなるか、ということに加えて議会とのバランスが重要だということです。今回のケースで言えば民主党のクリントン候補が有利と言われていますが、議会下院では共和党が圧倒的多数で逆転はほぼ不可能と見られるため、経済政策でそれほど大きな変化が出る可能性は低いのです。

ここに来てクリントン候補の私的Eメール問題が再びクローズアップされてきて、大統領選挙の行方は混とんとしてきた感はありますが、混とんとすればするほど、大統領選挙という不透明要因が去った後の反動も大きいはずです。相場が上昇するのは、何かプラス材料が出た時よりも、実はマイナス材料が去った時の方が大きい事を忘れてはなりません。

(2016年11月1日記)

【この記事に対するアンケート回答はこちらから】

トウシルのオススメ記事

▲トウシルトップページへ

 

1周年特集
投資の失敗
桐谷広人
このレポートについてご意見・ご感想をお聞かせください大統領選挙後の株式相場

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

記事についてのアンケート回答確認

大統領選挙後の株式相場

今回のレポートはいかがでしたか?
コメント
1周年特集
 
ハゲタカ
 
世界のリスクを総点検
投資の失敗
 
はじめての下落相場と損
 
株主優待・桐谷広人
美白YouTuberが紹介!無理なくカンタンな貯蓄術のススメ
 
老後破綻
 
動画でわかる
メールマガジン

直近1日の記事を配信します

配信:平日毎営業日配信
祝日・GW・夏季/冬季休暇 を除く

公式SNS

タイムリーな情報を
ゲットできます

配信:記事配信時 随時
facebookおよびTwitterには一部配信しない記事もあります

TOP
×
トウシル メールマガジン および SNSについて
メールマガジン 申込み

トウシルメールマガジンではレポートやコンテンツ等、直近1日の記事をお知らせします。
本メールは配信希望のお客様に平日毎日お届けしております。
リアルタイムでの情報取得は、公式SNS(facebook、twitter)もあわせてご利用ください。

  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。
メールマガジン サンプル
メールマガジンサンプル
  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。