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どん底サラリーマンが株式投資で2億円 いま息子に教えたいお金と投資の話
答えてくれた人
株式会社 ダイヤモンド社 書籍編集局 第四編集部 斎藤 順さん
著者ってどんな人?
DokGenさん
1966年京都府生まれ。某食品メーカーに勤める現役サラリーマン。35歳のときに奥さんの浮気が原因で離婚。奥さんが親権を放棄したため、5歳の息子さんと突如、父子家庭になりました。
毎朝、息子さんを保育園に連れて行ってから出社し、夕方5時半には定時退社してダッシュで保育園に向かう日々。当時は遅くまで残業するのが当たり前の時代だっただけに、毎日定時退社する著者は同僚たちから白い目で見られ、残業代もゼロ。年収400万円ほどで全財産90万円、お先真っ暗だったといいます。
現状打破のため、最低限の衣食住で生活費を切り詰め、年収の半分(200万円)を貯蓄。株式投資をしつつ4年で1,000万円を貯めました。これを軍資金に人生を変えるため、元手の約3倍まで運用できる信用取引を開始。「ときにはリスクをとらなければ、人生は変えられない」がモットーで、リーマン・ショックに見舞われるなどしましたが、結局は某企業の大株主として『会社四季報』の株主欄に名前が載るほどの成功を収めました。
そして集中投資で超長期保有する自称「ほっとけ投資」を始め、さらに資産を増やし“W億り人” に。その過程で再婚したものの、再婚相手と折り合いが悪く、息子さんは相当グレてしまい、父子げんかで肋骨を折られたこともありました。
いまや成長し、就職した息子さんと焼鳥屋に行ったとき、これまでの自身の半生を振り返りつつ、「資本家と労働者」の話をしたそうです。「サラリーだけで生きられる時代は終わった」「億の資産を築くにはお金に働いてもらうことだ」「リスクをとらないと得られるものはない」。
現在は早期リタイアを念頭に置きつつもサラリーマンを続けています。会社の先輩に「その大学で、よくうちに入れたなぁ」と言われて涙した三流大学卒。DokGen(ドクゲン)とは、「独り言」をつぶやくという意味。アメブロ『資産90万から2億円達成。普通のサラリーマンの「ちょっとだけアーリーなリタイア」への独り言』が人気。
どんな人にオススメ?
株式投資に興味のある人
FIRE(早期リタイア)を目指すビジネスパーソン
わが子にお金や投資の勉強をさせたいと思っている両親
この本の、ここが読みどころ!
著者は離婚をきっかけに本格的に投資を始めましたが、資産90万円から始め、資産形成のステージごとに投資手法を変えている点が、とても参考になるかと思います。
まずは投資以前の軍資金を貯めるステージ。年収400万円の頃に生活費を削って年200万円を貯蓄。勉強がてら行っていた投資とともに、4年で株式投資の軍資金1,000万円を貯めました。軍資金を貯める段階では、節約は株式投資に勝ります。
次に、その軍資金を元手に信用取引を開始。ハイリスク・ハイリターンの信用取引は一般的に「やってはいけない投資法の代表格」とされていますが、著者に言わせれば「人生ではリスクを負ってでも、勝負すべきときがある」「信用取引は絶対NGとかたくなに思い込んでしまうのは、間違っている」と指摘。実際、わずか1年ほどで1,000万円を2億3,500万円に増やしました。
その後、ライブドア・ショックで資産が一気に吹き飛び、8,000万円ほどに目減りしたものの、そこから投資スタイルを集中&超長期保有の自称「ほっとけ投資」に変えて、再び資産2億円超えの“W億り人”になりました。
本書では各資産形成ステージでのノウハウを全公開しています。こうしたジェットコースターのような投資歴とともに興味深いのが、元妻の浮気に始まる七転八倒の実生活です。
5歳で両親の離婚を経験した息子さんは一時グレてしまい、高校を卒業させるために著者は担任の先生に土下座までしましたが、その後、息子さんは更生。就職を果たしたところで、ともにお酒を酌み交わす間柄になりました。
そこで著者が息子さんに教えたことが、本書の起点となっているのです。投資本としても参考になりますし、エッセーとしても楽しめる作品となっておりますので、ぜひご一読いただけると幸いです!
編集者の制作秘話
著者のブログで、後日談を知って涙しました――本書刊行の1カ月ほど前、株式投資デビューした息子さんと久しぶりに焼肉店で一緒に食事をして、著書が刊行されることを初めて伝えたそうです。
刊行前で実物の本がないため、オンライン書店での予約サイトを見せながら、「これが目の前にいるあなたの父親が書いた本であること、私からあなたの将来へのメッセージであること」を伝えたそうです。
息子さんは、父親がまさか資産2億円超の“W億り人”だったとは思っていなかったそうで、予約サイトを見て固まったそうです。
そして息子さんは「離婚して突如、父子家庭に」という帯文を見て、「なぜ親権を母親ではなくパパがとれたの?」と尋ねてきたそうです。そのことは本書に詳しく書いていますが、著者の口から真実を伝えました。
母親につき合っていた男性がいて、その男性がかなりキレやすく、職場に何度も電話してきて、逆ギレするような人物だったこと。当時5歳だったあなた(息子さん)の人生が終わってしまうと思ったので、意地でも親権をとって父子家庭で生きていくと決めたのだと伝えました。
息子さんは、この点に以前から疑問を抱いていたようで、「そうだったのか」と真相を理解し、涙声でかすかに「ありがとう」と口にしました。その言葉を聞いて、著者は焼肉店のトイレで、ひとり号泣したそうです。