2万8,000円台で日銀のETF買いが出る

 4月21日、日本銀行は、TOPIX(東証株価指数)連動型のETF(上場投資信託)に対し、701億円の買いを実施しました。前日(20日)日経平均が584円安の2万9,100円と急落したところでは、ETFを買い入れなかったので、「日銀はこの辺りでは買わない」と思惑が広がりました。

 ただし、21日に日経平均が591円安の2万8,508円となったところでは、ETF買いを実施。このアクションによって、「2万9,000円台では買わなくても、2万8,000円台では買うこともある」ことを示しました。

日本銀行による日本株ETFの月間買入額:2015年1月~2021年4月(23日まで)

出所:日本銀行データより楽天証券経済研究所が作成

 3月の金融政策変更で、年間6兆円をメドとする買い付け方針は既に撤廃しています。日経平均が急落した時などに必要に応じて年間12兆円を上限とする買い付けを行う方針だけ残しています。

 この変更を受けて、4月は20日までまったく買い入れがありませんでしたが、21日に701億円買い入れました。私見ですが、このように中央銀行がいつまでも株式相場に介入し続けるのは、健全な市場の発展に弊害が大きいと思います。

 過去の日本株の需給を見ていると、日経平均を急落させるのはいつでも外国人投資家でした。急落時に、外国人の売りに買い向かっていくのは個人投資家でした。それは、リーマンショックでもITバブル崩壊でも、急落時にいつも見られたことです。

 ところが、日銀が大量に買うようになった2016年以降、急落局面で個人投資家が思うように買えなくなりました。外国人が売っているのは変わりませんが、日銀が大量に買って株式相場を支えてしまうために、下値で買おうと待っている個人投資家が買えなくなっています。健全な市場の育成の妨げになっていると思います。