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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]緊急事態宣言出ても、景気回復続く?景気敏感株「買い場」と判断」
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日経平均は2万9,000円前後で足踏み
先週(4月19~23日)の日経平均株価は、1週間で662円下がり、2万9,020円となりました。東京、大阪などに3度目の緊急事態宣言が発令されることとなり、景気回復が遅れる懸念から日経平均は急落、一時2万8,419円まで売り込まれました。
ただし、米景気は好調、NYダウは高値から小幅の調整にとどまっていることから、日経平均にも下がったところでは押し目買いが入り、2万9,000円台まで戻りました。
日経平均株価の動き:2020年10月1日~2021年4月23日
米景気は好調、コロナワクチンの接種が進む中、バイデン政権による1.9兆ドルの財政出動も行われることから、年後半には米景気が過熱する懸念すら出ています。
一方で、日本はワクチンの接種が遅れる中、変異種の感染拡大によって緊急事態宣言が発令され、景気回復が遅れる懸念が出ています。
日米の景気モメンタム(勢い)の差が、NYダウ・日経平均の2月以降のパフォーマンスの差につながっています。
NYダウと日経平均の動き比較:2020年10月1日~2021年4月23日
2万8,000円台で日銀のETF買いが出る
4月21日、日本銀行は、TOPIX(東証株価指数)連動型のETF(上場投資信託)に対し、701億円の買いを実施しました。前日(20日)日経平均が584円安の2万9,100円と急落したところでは、ETFを買い入れなかったので、「日銀はこの辺りでは買わない」と思惑が広がりました。
ただし、21日に日経平均が591円安の2万8,508円となったところでは、ETF買いを実施。このアクションによって、「2万9,000円台では買わなくても、2万8,000円台では買うこともある」ことを示しました。
日本銀行による日本株ETFの月間買入額:2015年1月~2021年4月(23日まで)
3月の金融政策変更で、年間6兆円をメドとする買い付け方針は既に撤廃しています。日経平均が急落した時などに必要に応じて年間12兆円を上限とする買い付けを行う方針だけ残しています。
この変更を受けて、4月は20日までまったく買い入れがありませんでしたが、21日に701億円買い入れました。私見ですが、このように中央銀行がいつまでも株式相場に介入し続けるのは、健全な市場の発展に弊害が大きいと思います。
過去の日本株の需給を見ていると、日経平均を急落させるのはいつでも外国人投資家でした。急落時に、外国人の売りに買い向かっていくのは個人投資家でした。それは、リーマンショックでもITバブル崩壊でも、急落時にいつも見られたことです。
ところが、日銀が大量に買うようになった2016年以降、急落局面で個人投資家が思うように買えなくなりました。外国人が売っているのは変わりませんが、日銀が大量に買って株式相場を支えてしまうために、下値で買おうと待っている個人投資家が買えなくなっています。健全な市場の育成の妨げになっていると思います。
景気敏感バリュー株の押し目買い方針を継続
ワクチン接種の遅れにより、日本の景気回復はやや遅れる可能性がありますが、それでも好調な米中景気の恩恵を受け、製造業中心に業績回復が続くと予想しています。
東証一部上場、3月期決算主要841社連結純利益(前期比%)
日本株が下がる局面では、景気敏感株を中心に押し目買いしていくべきと考えています。投資の参考銘柄については、以下、著者おすすめのバックナンバーをご参照ください。
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