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『インベスターZ』インタビュー後編:路線バスに乗り続ける人は投資で損する!三田紀房さん
トウシル編集チーム
特集記事

『インベスターZ』インタビュー後編:路線バスに乗り続ける人は投資で損する!三田紀房さん

2017/11/2
大人気投資マンガ『インベスターZ』インタビュー後編は、目からウロコの投資哲学について聞きました。
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 毎年多くの生徒を東大へ送り込む超進学校を舞台に、主人公の中学1年生が、数百億円という巨額を投資していく人気マンガ『インベスターZ』。投資や運用などの仕組みがわかりやすく描かれていると、証券業界でも評判を呼んだ同作は、今年6月に4年にわたる連載を終え、最終巻となる単行本21巻が10月に発売されました。

 この人気作品の作者である三田紀房氏に、トウシル編集チームがインタビュー。『インベスターZ』作者として読者に伝えたかった思いから、目からウロコの投資哲学まで迫ります。

『インベスターZ』インタビュー前編はこちら

 

戦時中も株式市場は盛り上がっていた!

◆『インベスターZ』は近現代の日本経済史も学べることもポイントですよね。

『インベスターZ』を描くなら、歴史を折々にはさみ込んでいこうという意図は当初からありました。それも経済史をクローズアップしようと考えていたんです。

 一般に授業で学ぶことができる「歴史」は、歴史上の人物、それもヒーローと、その人が関わった出来事に集中しています。経済史は意外と学ぶ機会がないんです。

 本当に学ぶべきは、経済史とその裏にある人間の営みのはず。いまを生きる自分と同じ人間がいて、経済が動くのですから、おもしろくないはずはありません。

 それを裏付けるように、読者から反響が大きかったのは、第2次世界大戦中でも、日本の株式市場は動いていたという事実を描いたとき。常に戦時体制下の生活を強いられて、株の売買などもってのほかという思い込みによって、事実が隠されてしまったのかもしれません、本当は取引市場が活況だったのに。

 経済活動は人の生活の根幹を成しているのに、戦争という大きな出来事によって、それ以外の出来事がまったく注目されてこなかったんです。

 

まず美人に告白しろ!

◆今注目されている実在の起業家も多く登場しますね。

 本作では投資格言や人生訓のようなフレーズをところどころで入れていますが、特に読者の反響が大きかったのが、「美人の隣に座れるのは……美人に告白した男だけだ……」という言葉です。

 憧れや夢は思っているだけでは、いつまで経っても実現することはできない、つまりは「頭で考えるより、先に行動する人間が勝つ」ということを一言で表したものです。これは登場する起業家たちから学びました。

 特に私が圧倒されたのは、ベンチャー企業・ユーグレナの出雲充社長です。

 彼は会うなり、世界の食糧問題について熱く語り、「世界中で8億人がいまだに飢えているんです。この状況をどう思いますか」とまっすぐに思いをぶつけてきました。そして、ミドリムシで世界の食糧問題を解決する夢を、本気で実現するつもりだと話してくれました。起業してから、資金難に陥るなど苦労も絶えなかったはずなのに、その理想を見失うことなく、東証一部上場まで果たしたことは本当にすごいことです。おそらく、世界の食糧問題も本当に解決してしまうんだと私も信じます。

 そんなこともあり、成功する起業家は、あれこれリスクについて思い巡らすのではなく、「思いついたと同時に、体が動き出している」ことが共通していると感じますね。 

 

駅に近づいた路線バスから、躊躇なく降りるべし!

◆投資家が取るべき姿勢、三田さんが考える投資哲学はありますか?

©三田紀房

 一般に投資が下手な人は、高いときに買って、安いときに売ります。

 いま値上がりしている株だからといって、「わー」とその流れに乗っかって、いちばん高いところで買ってしまう。そしてハッと気が付けば下がり始めている……。人が買っているから買って、まったく人のマネをしているだけですよね。

 私が『インベスターZ』の作者として、投資セミナーなどに呼ばれたときに、よく例として挙げるのが、「投資は路線バスに乗る感覚に似ている」という話です。 

 通勤時に乗る駅行きの路線バスは、だいたい混んでいます。このとき、頭のいい人は終点の1つ手前のバス停で降りるのです。なぜなら駅に向かう路線バスは多く、駅に近づくに従い道は混んでいて、なかなか終点にたどり着かない。だから、1つ手前で降りて駅まで歩くのです。そして、混んだバスに乗り続ける人を横目に見て、先に電車に乗っています。

 この姿勢が投資といっしょなんです。

 投資のうまい人は株価が上がり続けていても、ピーク手前で手放しています。

 一方、投資の下手な人は「まだ上がり続けているから」「まだ買っている人がいるから」と考えて売り損ないがちです。

 なぜ下手な人はピークを前に売ることができないのか。まだ保有している人がいるのに、売って「自分だけ儲けを取り逃がした」という気分になることが嫌なんです。

 この考え方がうまい人と同じ行動ができない原因です。

 駅が見える距離になっても、みんなが乗っているから、自分も乗っていよう。一人だけバスを降りると損をしたことになる、という考えです。

「みんなも乗っている」と安心しながらも、道は混んでいるので、どんどん時間は過ぎていく。手前でバスを降りた人は、スタスタ歩いて、スマートに電車に乗っていってしまう。
みんなと同じ行動を取ってはいけないんです。

「路線バスに乗り続けない」「さっさと損切りする」ことが投資の成功には大事な姿勢だと考えています。

『インベスターZ』インタビュー前編はこちら

今回の取材先:
三田紀房(みた・のりふさ)さん

『インベスターZ』(講談社刊)©三田紀房

 代表作に投資をテーマにした『インベスターZ』のほか、『ドラゴン桜』『エンゼルバンク』『クロカン』『砂の栄冠』などがある。『ドラゴン桜』で2005年(第29回)講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。現在、「ヤングマガジン」にて『アルキメデスの大戦』を連載中。 1958年生まれ、岩手県北上市出身。明治大学政治経済学部卒業。

インベスターZ』(1~21巻)は好評発売中です。

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