駅に近づいた路線バスから、躊躇なく降りるべし!

◆投資家が取るべき姿勢、三田さんが考える投資哲学はありますか?

©三田紀房

 一般に投資が下手な人は、高いときに買って、安いときに売ります。

 いま値上がりしている株だからといって、「わー」とその流れに乗っかって、いちばん高いところで買ってしまう。そしてハッと気が付けば下がり始めている……。人が買っているから買って、まったく人のマネをしているだけですよね。

 私が『インベスターZ』の作者として、投資セミナーなどに呼ばれたときに、よく例として挙げるのが、「投資は路線バスに乗る感覚に似ている」という話です。 

 通勤時に乗る駅行きの路線バスは、だいたい混んでいます。このとき、頭のいい人は終点の1つ手前のバス停で降りるのです。なぜなら駅に向かう路線バスは多く、駅に近づくに従い道は混んでいて、なかなか終点にたどり着かない。だから、1つ手前で降りて駅まで歩くのです。そして、混んだバスに乗り続ける人を横目に見て、先に電車に乗っています。

 この姿勢が投資といっしょなんです。

 投資のうまい人は株価が上がり続けていても、ピーク手前で手放しています。

 一方、投資の下手な人は「まだ上がり続けているから」「まだ買っている人がいるから」と考えて売り損ないがちです。

 なぜ下手な人はピークを前に売ることができないのか。まだ保有している人がいるのに、売って「自分だけ儲けを取り逃がした」という気分になることが嫌なんです。

 この考え方がうまい人と同じ行動ができない原因です。

 駅が見える距離になっても、みんなが乗っているから、自分も乗っていよう。一人だけバスを降りると損をしたことになる、という考えです。

「みんなも乗っている」と安心しながらも、道は混んでいるので、どんどん時間は過ぎていく。手前でバスを降りた人は、スタスタ歩いて、スマートに電車に乗っていってしまう。
みんなと同じ行動を取ってはいけないんです。

「路線バスに乗り続けない」「さっさと損切りする」ことが投資の成功には大事な姿勢だと考えています。

『インベスターZ』インタビュー前編はこちら

今回の取材先:
三田紀房(みた・のりふさ)さん

『インベスターZ』(講談社刊)©三田紀房

 代表作に投資をテーマにした『インベスターZ』のほか、『ドラゴン桜』『エンゼルバンク』『クロカン』『砂の栄冠』などがある。『ドラゴン桜』で2005年(第29回)講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。現在、「ヤングマガジン」にて『アルキメデスの大戦』を連載中。 1958年生まれ、岩手県北上市出身。明治大学政治経済学部卒業。

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■『インベスターZ』はテレビ東京で、7月13日(金)深夜0時57分からドラマ25「インベスターZ」として放映開始予定です。早見あかりなど、人気俳優が出演するほか、ホリエモンこと堀江貴文氏がナレーションを担当します。また、メルカリの小泉文明氏、ユーグレナの出雲充氏、メタップスの佐藤航陽氏など、実在するベンチャー企業の社長が顔を出すことも話題になっています。