2.半導体市場と各社業績見通し

 半導体業界のファンダメンタルは需要面では追い風が吹いており、今期、来期は足元の半導体不足を背景にした製造装置の需要の高まりや販売価格の値上げに期待でき、長期的にも5Gや自動車、ストレージ方面の需要拡大が想定される状況です。

 世界半導体市場統計(WSTS)によると、昨年の世界半導体市場は前年比でプラス6.8%拡大しましたが、今年はプラス19.7%と、2018年以来の2桁成長が想定されています。来年も反動減は想定されておらず、プラス8.8%の成長が続く見通しです。 

<世界半導体市場の地域別市場予測>
(単位:百万ドル)

出所:WSTS日本協議会より楽天証券作成、予測はWSTS

 この環境を反映し、主要企業10社全体では、今期、来期、再来期と増収増益基調が続く見込みです。

<半導体10社の売上高(左)と営業利益(右)の見通し(単位:10億ドル)>

出所:ブルームバーグより楽天証券作成、予想はブルームバーグコンセンサス

 今期は半導体製造装置の4社が(アプライド・マテリアルズ、ラムリサーチ、ASML、KLA)、半導体メーカーからの需要を取り込む年となるでしょう。通信機器向けの半導体を展開するブロードコム(AVGO)やクアルコム(QCOM)も、5Gやクラウド、IoTの需要拡大を背景に大幅営業増益となる見通しです。

 ただし、今年大きく拡大する反動で、来期以降の営業利益は増益率が鈍化する見込みです。特に半導体製造装置も再来期になると、ASML以外は微増益か微減益に落ち着く見通しです。