昨日、NY株式市場は1987年10月19日の株価急落、いわゆる「ブラックマンデー」から30周年を迎えました。30年前のこの日、ダウは508ドル下落して1738.74ドルとなり、この22.6%という1日の下落率は長いNY株式市場の歴史でも群を抜いて過去最大となっています。
当時、私は「株とは何か」もよくわからない大学生だったので、直接その経緯を知るわけではありませんでしたが、社会人になってこの業界でもアカデミックな世界でも、しばしば原因を検証する機会がありました。30周年が近付いてきたことで、さまざまなメディアが「当時と似てきている」などの論調を取り上げています。しかし実際には、今ではほとんど考えられない現象と考えて良いでしょう。
第1に、情報取得手段の違いです。ブラックマンデーの原因として一般に知られているものの他に、実際には市場ではさまざまな噂が駆け巡っていたとされています。たとえば当時、株価上昇の大きな一因とされたM&A(企業の合併・買収)に対して高い税率が課せられるようになるとの噂や、レーガノミクスに大きな影響を与えているとされたレーガン大統領の妻、ナンシー・レーガンさんが癌の手術で入院したなどという噂です。
当時は今のようにインターネットで情報を入手できるわけでなく、テレビやラジオの情報も今のようなスピードで伝わるわけではありません。人々は、たとえそれが噂である可能性が高いと思っても、真偽を確認する手段がほとんどなかったのです。株価にはリスクプレミアムという名の、人々の不安心理が反映されているわけですが、情報が確認できないということ自体が原因で不安心理が高まりやすい状況だったというわけです。
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