金利上昇で成長株の株価が下がっている理由

 金利上昇により、成長株の株価が軟調になっています。足元では多くの個別銘柄が上昇トレンドになっていますが、成長株の中には下降トレンドのものが目立ちます。

 成長株の株価が下がっている理由を理論的に考えると、次のようなことが言えます。

成長株の株価の理論値が下がるため

 一つは前回も少しお伝えした「割引現在価値」からのアプローチです。

 株価の理論値を計算するとき、まず、その会社が将来得るであろう利益やキャッシュ・フローを、いま現在の価値でどれくらいになるか求めます。これを「割引現在価値」と呼びます。

 割引現在価値は、例えば、10年後の100円の価値は、いま現在の価値と同じかどうかを考えるときと同様の枠組みです。皆さんも経験上、いまと10年後の貨幣価値は異なると考えるのではないでしょうか。

 物価上昇により、10年後の貨幣価値は現在より低下し、ざっくりわかりやすく言うと5年後には95円、10年後には90円の価値となります。これに金利上昇の影響が加わると、将来の貨幣価値はより低下し、5年後には90円、10年後には80円となります。現在から将来へ向かうほど、割引現在価値も低下するのです。

 では成長株について考えてみましょう。将来の業績が大きく伸びると期待されている成長株は、1年後2年後より、5年後とか10年後の方がより大きな利益を獲得できるという前提で、株価が形成されています。しかし、これも金利上昇により、割引現在価値が大きく下押ししてしまいます。

 これが、金利上昇によって、成長株の株価がより大きく下落しやすいと言われる理由です。