株式市場の関心は、新型コロナウイルスから米中対立に移っていくと考えられる

 2020年の株式市場にとっての最大の脅威は、コロナ禍でした。新型コロナウイルスが2021年も引き続き人類にとっての重大な脅威となっている状況に変わりはありません。ただし、世界経済や株式にとってのリスクとしては、徐々にウエイトが下がってきています。

 それには、2つの要因が効いています。1つは、ワクチンへの期待ですが、それだけではありません。もう1つ、ウィズコロナでも経済を回していく知恵を人類が身に付けつつある効果が大きいと言えます。

 今、日本経済は急速に回復しつつありますが、それは日本でワクチンが普及したからではありません。米国や中国経済回復の恩恵を受けて、自動車や半導体がフル操業になるなど、製造業が急回復しています。コロナ禍でも安全対策を取った上で、工場を動かしていくことができるようになっています。海運業も久々の活況に沸いています。街の人出も物流もウィズコロナのまま、かなり回復しています。

 外食や観光、イベント、航空、電鉄業などの落ち込みは厳しいままですが、他の産業では急速に業況が改善しています。毎日の新規感染者数は増加減少を繰り返し、ワクチン普及まで収束が見通せませんが、それでも、欧米やブラジル・インドなどと比べると、日本は感染爆発をなんとか抑えることに成功しています。

 コロナウイルス変異種の広がりが、新たな脅威となっていますが、それでも株高が続いてきたのは、安全対策をとりつつ経済を回していく知恵を人類が身に付けつつあることによると考えらえます。
一方、新たな脅威として、今後重大な影響が及ぶ可能性があるのが、米中対立です。年後半、新型コロナウイルスの株式市場に対する脅威が低下していく中で、米中対立の脅威が大きくなっていくと予想しています。