米銀資本規制の緩和は延長されるのか?

 そしてもう1つ注目されているのが、米大手銀行への資本規制(SLR、補完的レバレッジ比率)の緩和が延長されるかどうかという点です。2008年のリーマンショック後、米銀は資本規制が導入され、リスク資産の計上が制限されていました。しかし、新型コロナウイルスの対応として流動性を確保するため、2020年4月に1年間の特例で規制を緩和しました。その期限が3月末に到来します。もし、延長されなければ、国債購入が減ったり、米国債を含めたリスク資産を圧縮するとみられており、長期金利上昇につながる可能性があります。2月末に米長期金利が急上昇した局面では、この思惑や警戒感があったのではないかとの見方もあります。期限が延長されれば、安心感から米長期金利は低下する可能性がありますが、米民主党左派勢力からの延長反対も強く、パウエル議長は難しい判断を迫られており、マーケットは注視しています。

日銀政策決定会合は波乱材料になるか?

 日本銀行の決定会合では金融政策の点検が発表されますが、波乱材料になりそうなため注意が必要です。見直しの柱は、(1)長短金利操作の運営方法、(2)ETF(上場投資信託)などの資産買入れ手法、の2点ですが、日銀の雨宮副総裁は、8日のオンライン講演会で「長短金利の引き下げは重要な選択肢」と述べ、資産買い入れについても株高局面でのETF購入抑制も示唆し、点検見直しによる政策修正の方向性を示しました。

 点検見直しでは、マイナス金利の深堀りの余地にも触れる可能性があるかもしれません。現状よりも一段の金融緩和を目指す修正が発表されると、円安要因となるため注意する必要があります。

 17~18日にはBOE(英中央銀行)のMPCが開催されます。BOEは時として他の中央銀行に先行して発言したり、行動指針を示す時があるため注目しています。

 これら一連の中央銀行の政策委員会が終わって、中央銀行がマーケットとの対話に成功すれば、米長期金利の上昇は安定を取り戻し、ドル/円も2月以来の推進力がなくなり、ガス欠となるかもしれません。