欧米中央銀行間の「ずれ」。FRBとECBの長期金利についての見解は違う

 欧米の中央銀行の間では長期金利の動きについて見解が分かれています。ECBのラガルド総裁は、「注視している」と警戒心を示しましたが、パウエル議長は容認しました。このFRBとECBの長期金利についての見解の違いがユーロの下落(ユーロ安・ドル高)に影響しているとの見方もあります。

 しかし、FRBが長期金利上昇に懸念なしとの容認姿勢を続けると、マーケットの早期利上げ観測を高めることになります。長期金利も上昇を続けると、2月の終わりのように株式市場に影響を与え、景気回復に水を差すことになりかねません。FRBの雇用と物価の政策目標達成にも支障が生じることになり、また、イエレン財務長官が、金利が低いから大判振る舞いが出来るという主張に制約がかかるかもしれません。それを避けるため、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では市場の利上げ観測を冷ますような声明や発言が出てくるのかどうか注目です。FOMCの前に発信されるFRB高官からの発言にも注目です。

 3月の金融政策会合は、ECBが11日、FOMCが16~17日、日銀が18~19日に開催される予定となっています。

 ドル/円は、2月の終わりに株が下落しても、それまで支えていたクロス円が調整売りによって大きく下落しても106円台を維持したため、上にも下にも大きく動きづらい状況となっています。

 円安の要因であったクロス円は、当面の高値をみた感があります。そしてもうひとつの円安の要因であった、早期利上げ観測や長期金利の上昇をもたらしたインフレ期待の上昇は、レジャーや飲食などサービス価格の伸びが鈍化してきていることから頭打ちとなってきているようです。FRBはそのことを先取りし、金利の先高期待は後退し、金利の変動は徐々に落ち着きを取り戻すとみているため現状を容認しているのでしょうか。やや危険を伴うスタンスだと思われます。もう少し、マーケットとのコミュニケーションが必要だと思われますが、記者会見でそのギャップを埋めるのかどうか注目です。