2.保有銘柄に与える影響は?

 こうした環境下で、保有に最も注意したい銘柄は、アップル(AAPL)アマゾン・ドット・コム(AMZN)等の大型テックと高バリュエーション銘柄だ。大型テクノロジー銘柄は長期的な成長ストーリーが引き続き魅力であるが、昨年の好業績からの一巡感があることから、短期的には利益確定売りが進むだろう。また、昨年次々と上場したIPO銘柄等、過熱感がある企業にも注意が必要だ。特に、電気自動車や燃料電池関連は、実績に乏しい企業も散見され、期待が萎んだ際に大きく下落するリスクがある。米国株式は、国内株式と違い値幅制限がないため管理に注意したい。最近では、ワークホース・グループ(WKHS)が、郵便局へのバンの契約を競合に勝ち取られたという報道で大きく下落する局面があった。

 一方、この環境下で買うとすれば、景気拡大期の物価上昇に強い銘柄だろう。セクターとしては、金利の上昇と貸倒れリスクの低下から恩恵を受ける銀行株が挙げられる。業界最大手の企業はJPモルガン・チェース(JPM)だが、割安性を重視するなら、予想PBR(株価純資産倍率)が1.0倍を下回るシティグループ(C)に投資妙味があるだろう。同社は昨年、規制当局からコンプライアンスやデータ管理に関連する内部統制の不備を指摘され、4億ドルの罰金が科された。今後、内部統制を改善する費用が発生する見通しだが、これを期に社内の透明度向上、効率化が進む可能性がある。

 また、物価の上昇を販売価格に転嫁するという観点からは、原油関連にも注目したい。昨年、原油業界はコロナ禍による需要の落ち込みに苦戦した。足元では原油価格見通しを上方修正する声も聞こえるが、今後も生産国の供給面など、不透明感は引き続き払しょくされないだろう。ただ、長期的に物価が上昇した際に転嫁が進むと考えられるのが原油だ。ポートフォリオの一部に組み込むのも良いだろう。例えば、シェブロン(CVX)は、バランスシートが比較的健全で、昨年の厳しい環境のなかでも増配を維持できた。今期の配当利回り予想も高水準だ。