クイズの答え

 それでは、冒頭のクイズの答えを発表します。久保山さんが投資する以下2銘柄のうち、どちらをNISAで買うべきか、というクイズでした。

【1】ライオン工業:400株を120万円で購入する予定
 予想配当利回り5%。今後5年、安定的に高い配当が期待できるが、株価上昇はあまり期待できない。

【2】しまうま食品:400株を120万円で購入する予定
 予想配当利回り2%。400株保有すると、同社の食品詰め合わせ年間1万円相当を贈ってくる。今後5年、配当・優待内容は変わらないと考えられるが、株価上昇はほとんど期待できない。

 NISA枠は120万円しかありませんから、どちらか一方を非課税口座(NISA)で買うならば、他の銘柄は課税口座(特定口座)で買うしかありません。

 答えは、【1】ライオン工業です。NISAは、配当金や売却益が非課税になる口座ですから、配当金や売却益の金額が大きくなる方をNISA投資にした方が良いからです。

【1】ライオン工業、【2】しまうま食品とも、今後5年、株価上昇はあまり期待できない、と書いてありますから、どちらも値上がり益も値下がり損も発生しないと想定していることになります。

 したがって、NISAで非課税となる5年間に得られると期待している配当・株主優待のメリットは、以下の通りとなります。

【1】ライオン工業
   配当金30万円(120万円×5%×5年間)

【2】しまうま食品
   配当金12万円(120万円×2%×5年間)
   食品詰め合わせ5万円相当(年1万円相当×5年間)

 NISAで投資すると、上記の受け取り(配当金は配当所得・優待品は雑所得)の課税はすべて免除されます。

 特定口座で投資すると、上記に課税されます。配当金から20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)の源泉税が差し引かれます。雑所得については確定申告の義務がないことを前提とすると所得税は免除されます(住民税の免除はありません)。

 想定される課税額は、【1】ライオン工業の方が大きいので、NISAで投資した方が良いのはライオン工業となります。

 ただし、ここで1つ、重要な注釈があります。上記は、あくまでも配当金や優待品の将来の予測に基づく計算です。実際にどうなるか分かりません。業績が予想以上に悪化して減配や優待廃止もあり得ます。また、業績が想定以上に拡大して増配になることもあります。税制が変更になることもあります。

 将来のことは分からないので、予測ベースで判断するしかありません。予測ベースで考えると、NISAで投資すべきはライオン工業です。