3.中長期的な原油消費の行方:世界の脱炭素社会化が原油市場を直撃

 図表3は英オイルメジャーのBP社が予測する今後の原油消費量の推移です。地球温暖化対策として、世界が二酸化炭素排出量を削減する「脱炭素社会」へかじを切ってきたことはよく知られているとおりです。

 欧州諸国が先陣を切っていたのですが、中国も新エネ車(電気自動車やハイブリッド車)推進を強力に進めており、日本も2050年に向けて二酸化炭素排出量をネットゼロとする方針を打ち出しています。米国でもバイデン新政権はパリ協定への復帰など、環境問題に再び取り組む方向で動くと思われます。

 英BP社の予測によれば、世界が本当に二酸化炭素排出量を「ネットゼロ」にまで削減することに成功すれば、2050年頃の原油消費量は現状の20%程度に落ち込み、「ネットゼロ」でなくても急速な削減に成功すれば半分になるようです。

 原油相場の低迷はこうした近未来社会を織り込み始めたものであると思われ、かなり厳しい相場環境が想定できると思います。今後2~3年間はコロナ終息による需要回復が期待でき、エネルギー関連セクターのリバウンドが期待できるでしょう。

 しかし、近未来の厳しい予想図を考えると、相場の頭は重たく、戻り売りが長期的に続くのではないかと考えています。

図表3: 英BP社が予想する二酸化炭素排出量別の世界の原油消費量の推移

出所:英BP社ホームページを基に野村アセットマネジメント作成
※期間:2000年~2050年(実績は2年ごと、予想は5年ごと)
※英BP社の"Energy Outlook 2020 edition"より

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