1.バイデン次期大統領の施策

 2021年の米国株式市場は、民主党のバイデン次期大統領の施策によって大きく左右される年になります。その実行力に影響を与えるのが米ジョージア州の連邦議会上院2議席の決選投票結果であり、仮に2議席を民主党が確保すると、米議会では上院下院共に民主党が優勢となります。

 このレポートを書いている1月6日時点で、決選投票の結果は不明ですが、民主党が優位になった場合に投資家が警戒するのは、法人増税です。具体的には、(1)法人税率を21%から28%に引き上げる、(2)1億ドル以上の利益を上げる企業に15%の代替ミニマム税を課す、(3)海外子会社の利益に高い税率を課す、施策が警戒されています。

 しかし、ネガティブな材料ばかりではありません。(1)~(3)の施策は実施時期などで調整される可能性があり、また、民主党が大規模な景気刺激策を打ち出すことも想定されます。特に、バイデン氏は新規の雇用創出に積極的であり、(4)米国で新規雇用を創出した企業には10%の税控除を適用する、(5)保育園の一部無償化や低所得者層に対する公的医療保険予算の増額を行う、(6)中低所得者層に対して税額の控除を設置することも検討しています。これらが実現されると、中低所得者の労働・生活環境は改善に向かいます。

 こうしたなか注目したい銘柄は、中低所得者の消費回復から恩恵を受ける銘柄です。雇用が回復し所得が安定すれば、身の回りの買い物や飲食の消費機会が増えます。今回は特に、2020年にコロナ禍の影響を受け苦戦した銘柄から4つ選定しました。

<コロナ禍で打撃大も、今後成長が期待できる消費銘柄4選>

銘柄名 株価 配当
利回り
調整後EPSの増減率
前期
実績
今期
予想
来期
予想
再来期
予想
TJXカンパニー
(TJX)
66.72 1.54 9% -84% 518% 15%
スターバックス
(SBUX)
103.44 1.78 -59% 141% 20% 14%
ウォルト・
ディズニー

(DIS)
178.44 0.61 -65% -10% 163% 22%
チポトレ・
メキシカン・グリル

(CMG)
1355.11 - 55% -22% 94% 34%
※株価は2021年1月5日現在。単位はドル。配当利回りは予想で今後の4四半期ベース、単位は%
※決算月は、TJXカンパニーが1月、スターバックスが9月、ウォルト・ディズニーが9月、チポトレが12月
※出所:ブルームバーグより楽天証券作成。予想はブルームバーグコンセンサス