※このインタビューは2019/01/11に公開した記事となります。

 投資を始めて4年で資産を2億4,000万円まで増やすも、大暴落に見舞われ、一気に資産は9,000万円に。めげずに奮起した1年半後、資産10億円の大台に乗せるが、今度はライブドアショックで5億円失う──。そんな山あり谷ありの投資人生を送ってきたのが、人気ブログ「専業投資家DAIBOUCHOUの軌跡」を運営するDAIBOUCHOU(だいぼうちょう)さん。2004年に勤めていた会社を退職し、現在は専業投資家として活躍するDAIBOUCHOUさんのインタビューを3回にわたってお届けします。

 

不人気業種にこそ成長株が眠っている

──昨年7月に出版された『DAIBOUCHOU式 新・サイクル投資法』を読ませていただきました。資産10億円に到達しながら翌月には半分に減らすとか、いや、何というか、アップダウンが凄まじすぎます(笑)。

 そうですね。でも、長く株をやっている人なら誰しも浮き沈みがあると思いますよ。ずっと上昇曲線を描き続けるなんて絶対に無理ですし。

──でも、DAIBOUCHOUさんの場合は、勝ちにせよ負けにせよ、とにかく単位が大きい。普通の人よりマルの数が2つ3つ多い(笑)。

 それは1つには「信用」をやっていたからだと思います。僕は割安成長株の中長期投資を得意としているのですが、投資を始めて3年目に信用取引を始めました。信用取引というのは、証券会社から借金して取引するわけですから、当然リスクは大きくなります。でも、うまくいけば現物取引よりはるかに大きなパフォーマンスを上げることができます。信用をやっていなかったら絶対に10億円なんて無理だったでしょうね。

──トウシルの読者も興味があると思うので、信用取引については後ほど詳しく聞かせてください。その前に、まずは投資を始めた経緯を教えてください。

 初めて株を買ったのは27歳のときです。僕は新卒でコンピュータ関連の会社に就職したのですが、自宅暮らしだったこともあり、その頃400万円くらい貯金がありました。それで、銀行に寝かせておくのはもったいないなと思い、最初にまず投資信託を購入したんです。でも、1年経ってもぜんぜん増えない。そこで個別株に挑戦することにしました。

──いきなりどこかの株を買われた?

 いえ。さすがに個別株となると、ある程度は知識がないと無謀だろうと思いまして、まずは勉強から始めました。投資の神様といわれるウォーレン・バフェットをはじめ、フィリップ・フィッシャーやピーター・リンチなどいろんな人の本を読みました。

──初めて買われた銘柄を覚えていますか。

 はい、トヨタカローラ岐阜です。

──地方企業ですね。最初に購入する株としてはちょっと意外な感じもしますが。

2001年3月発売  ダイヤモンド社 1,944円(税込)  送料無料 「誰も関心を示さないような不人気業種に着目しなさい」という教えがDAIBOUCHOUさんの背中を押した。

 僕が感銘を受けた本の1つに『ピーター・リンチの株で勝つ』があるのですが、彼はこのなかで「誰も関心を示さないような不人気業種に着目しなさい」と言っています。その時代の花形業種の銘柄は、みんなが欲しがるので、どうしても割高になる。それに対して不人気な銘柄は、本来の実力に比べて割安だし、成長株が眠っている場合もあると。それで会社四季報などでPERやPBRが低い銘柄を探し、トヨタカローラ岐阜に行き着いたんです。

──ほかに当時買った銘柄はありますか。

 いくつか割安株を買いましたけど、よく覚えているのはパチンコ・パチスロメーカーのサミー(現セガサミーホールディングス)株です。立て続けにヒット作を出し、業績が上り調子だったのですが、人気業種とはいえないこともあり、あまり株価は上がっていなかったんです。PERやPBRも低かった。それで狙い目だと思って買ったら、その後ぐんぐん上昇しました。

──お話を聞くと最初から好調だったようですね。

 はい。トヨタカローラ岐阜も、大きな儲けにはなりませんでしたが、損はしませんでしたし。

──きちんと勉強した甲斐があった?

 まあ、そうですね。僕は400万円の貯金のうち200万円で投資を始めたのですが、最初の段階で、もしその大半を失う羽目になっていたら、その時点で投資をやめていたと思います。そうしたら今も普通に会社員を続けていたでしょう。やるべきことをやって、それが報われてよかったとつくづく思います。相場では、どれだけやっても報われないことも多いですから。