資産バリュー投資家を目指すなら「ネットネット株」に注目!

──かぶ1000さんはご自身のことを「バリュー投資家」ではなく「資産バリュー投資家」と呼んでいますよね。これはどういうことですか。

 株をやっている人には説明するまでもないですが、その銘柄が割安かどうかを知る指標の1つにPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)があります。前者はその名の通り、その会社の収益に対して株価が高いか安いかを示す指標で、後者はその会社が所有する資産に対して高いか安いかを示す指標です。

 つまり、ひと口に「割安」といっても、収益に対して割安な場合と、資産に対して割安な場合とがあるわけです。

──かぶ1000さんは収益より資産を重視されている、ということでしょうか。

 はい。

──それはなぜですか。

 収益というのは1年間の業績のことであり、今年よくても来年は悪化するかもしれません。

 それに対して資産は、その会社が所有している土地や建物、株式、現金などのことです。長い間の企業活動によって築いたものであり、ある日突然、半分になってしまうようなことは考えにくいです。

 ある程度、長期保有する前提で考えると、収益より資産をベースにしたほうが確実性が高いわけです。

──なるほど。でも、例えば赤字が続いて所有資産を売却…なんてこともありますよね。

 はい。だから、僕もPBRだけで判断するわけではありません。

 これはバリュー投資でもグロース投資でも一緒ですが、投資というのは、1つの見方だけで買いか売りかを決められるわけではありません。いろんなことを総合的に見ないといけないんです。そこは正しく理解してもらいたいポイントです。

──だからこそ、難しいのですね。

 そうですね。

──資産ベースで割安かどうかを判断するのも、ベンジャミン・グレアムの教えによるものなのですか?

 グレアムさんは『賢明なる投資家』の中で、資産に対して割安かどうかをより正確に判断する手法を提案しています。かなり専門的な話になるので、細かい説明は省きますが、簡単に言うと、その会社を買収してすぐに清算したときに、買収した金額以上のお金が残る銘柄を推奨しています。

 彼はそういう銘柄を「ネットネット株(※)」と呼んでいるのですが、僕もその論理にもとづいて、銘柄分析を行ったりしています。

※ネットネット株…株価が割安で、資産価値が高い銘柄。
(正味流動資産-負債総額)×66.7%(3分の2)>時価総額 があてはまるとされる。

──資産バリュー投資家を目指すならネットネット株のことは知っておくべきでしょうか。

 それは間違いないでしょう。僕はツイキャスなどでネットネット株のことを詳しく話しているので、興味のある人はぜひ聞いてみて下さい。