ドルは来年20%下落する可能性も!?
「ドルは来年20%下落する可能性も」という記事が、おとといのブルームバーグに出ていた。
新型コロナウイルスのワクチンが広く配布され、世界的な貿易や経済成長の回復を助ける場合、ドルは来年に最大20%下落する可能性がある。米シティグループが予想した。
カルビン・シー氏ら同行のストラテジストは16日のリポートで、「ワクチン配布はわれわれが設けた弱気相場のチェックポイント全てに該当し、ドルは2000~2010年の前半と似たような道筋をたどるとみている」と分析した。この時期にドルは複数年にわたる下降局面に突入した。
ワクチン開発の進展だけでなく、世界経済が正常化しても米金融当局がハト派の姿勢を維持することでドル相場は苦しい展開になると、シティはみている。さらに世界各国で成長ペースが加速する可能性は高く、投資家が米国資産を離れ、国外資産へ乗り換えるとも予想する。
出所:11月17日 ブルームバーグ「ドルは来年20%下落する可能性も、新型コロナワクチン普及で-シティ」
国家管理の相場の中で、景気が回復したり、GDP(国内総生産)が上がることを、ウォール街の運用者は逆に嫌がっている。「ワクチンなどできなくてもよい。新型コロナがずっと続いてくれて、金融緩和と財政出動が永遠に続いたほうがよい」というロジックなのだ。
中央計画経済的な社会主義政策の経済では、経済格差、金融不安、必需品の価格上昇、インフラの崩壊などによって、経済と社会が空洞化している間、逆にGDPは急上昇するのである。GDPは国民にとって何が重要かを測定しない。GDPの悪化は、驚異的な金額を借りる(バラマキ政策)ための破壊的なインセンティブを生み出すのである。
一部の金融機関が「FRBが前倒しで政策を変更する可能性がある」との見方をとっているが、「来年のバラマキまでのつなぎ的処置でFRBが何かをやるだろう」という観測である。今の市場はFRBが何かしないと、株価を維持できない。中央銀行が永遠に紙幣を刷り続けるという観測のなか、ドルは必然的に弱い通貨となっていくだろう。
ドルインデックス(2014~2020年)
下のチャートは筆者が毎週メルマガに掲載している逆張りシグナルのチャートである。「株が下がると対策が出る」という国家管理相場のなかでは、逆張り指標もトレードに有効な投資ツールとなっている。中央銀行が社会主義政策を推進している官製相場では、通貨や株の動きは金融当局の管理下にある。