主要銘柄の20年8月本決算は予想通りか上振れ、義務教育課程に政策リスク

 中国の教育銘柄の多くは決算期が8月であり、11月中に20年8月本決算を発表する予定。BOCIは大半の銘柄の通期利益が予想通りの水準に達し、一部は上振れるとみている。また、教育セクターのうち、課外の個別指導部門については、オフライン授業の全面再開や留学向けの英語試験対策需要の回復が、向こう2四半期にわたって成長エンジンになると予想。義務教育を含む正規の教育課程K12(幼稚園-高校)に関しては、向こう2-3カ月以内に、新たな監督規定が発表される見通しを示した。個別では好未来(TAL)、中国教育集団(00839)、中国宇華教育(06169)、中匯集団(00382)、睿見教育国際(06068)の株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 5月後半以降の学校の再開に伴い、課外指導セクターでもオフライン授業が全面再開にこぎつけている。また、試験センターの再開が続く中、海外留学に向けた英語試験対策需要も回復傾向がかなり鮮明となっている。一般高校や大学の入学者受け入れ率の低下を背景に、海外の高等教育に対する需要は依然旺盛。留学申請が難しさを増す中にあっても、英語試験対策への需要は明らかに回復傾向にある。

 一方、K12教育を中心とする民営教育分野に関しては、近く新たな規定(民辨教育促進法)が発表される可能性が高い。BOCIのリサーチによれば、同規定は最終的に、草案とほぼ同じ内容となる見通しだが、特に義務教育課程の当事者間取引や営利に関する一部規定について不透明感がくすぶる。BOCIの理解では、地方政府の大半は資金的な理由で、需要に十分応じられるだけの公立学校を用意することが難しく、民営セクターに一部依存しているのが現状。地方政府はこのため、私学による一定割合の利益追求を容認しているという。

 BOCIは20年8月通期について、中国教育集団と睿見教育国際の決算が市場予想を上回るとの見方。中国宇華教育、中匯集団、中国楓葉教育(01317)はほぼ予想通りとみている。うち中国教育集団に関しては買収・統合効果が予想を上回る可能性があり、睿見教育国際は予想以上の授業料の上昇が期待できるという。中国教育集団に関しては、20年末までに傘下の独立大学3校の「純私大」への学校種別の転換をめぐり当局の認可を得ると予想。さらに9月の授業料の値上げ幅が予想を上回ったことからみて、21年8月期の売上高、粗利益も予想を上回る可能性が高いとしている。

 教育セクターの株価に影響するイベントは以下の通り。◇近く予想される「民辨教育促進法」の発表◇独立大学の種別転換を義務付ける規定。20年末までに転換を申請する必要があり、それまでに買収が加速する可能性がある◇好未来やその他教育大手の香港でのIPO(新規公開株)。一方、BOCIはセクターレーティング見直しにつながる可能性がある要因として、政策的な監督強化リスクと新型コロナ感染の再発リスクを挙げている。